1529号
2025年07月18日
▼朝食の準備をしていて、テレビから聞こえてくる話に驚いた。そして、恐怖を感じた。参議院選挙の最中、NHKでは政見放送がある。その中で、露骨な外国人排斥を主張する候補者が増えた。「◯◯◯人には犯罪者が多い」「外国人への生活保護は廃止すべき」という主張に背筋が凍る。過去にはネトウヨ(ネット右翼)らが書き込んでいたことを、かりにも国政を目指す候補者が地上波で口にする。
なかでも「日本人ファースト」を掲げる参政党の公約は、「日本人」を連呼する。「日本人を豊かにする」「日本人を守り抜く」「日本人を育む」と。そして、「行き過ぎた外国人受け入れに反対」などと主張する。党の政策として、外国人政策を一元管理する「外国人総合政策庁」の設置や外国人への生活保護の支給停止など、24項目の外国人政策も提示している。
こうした動きを背景に他党でも外国人政策を打ち出したことで、今回の参議院選挙では外国人政策が論点として浮上している。参政党に引っ張られているのか、外国人への厳しい政策が目立つが、逆に排外主義などへの懸念から対応強化に反対する党もある。定住外国人である私に参政権はないが、今回の選挙には注目せざるを得ない。(文聖姫)
▼参院選で参政党が躍進すると報じられている。農薬や食品添加物を嫌う同党の政策を支持するオーガニック志向の人も多いようだ。確かに、同党の憲法案には、農林水産業の「保護育成」や「生態系の保護」が書かれ、「国民の健康に関わる情報は、医薬品、食品添加物、農薬、遺伝子組換の安全性を含め、国がすべて国民に開示する義務を負う」とある。憲法に書く内容かはさておき、その方向性には異論はない。私は添加物をなるべく摂らないようにしているし、オーガニック食材が好きだし、農林水産業や環境保全を重視している。
でも、だからといって天皇を元首として「国民の幸せを祈る神聖な存在として侵してはならない」とか、「教育勅語など歴代の詔勅、愛国心」を教育で「尊重しなければならない」とか、「権理には義務が伴い、自由には責任が伴う。権理及び自由は、濫用してはならない」などという憲法案をつくる党に賛同はできない。外国人の参政権を認めず「帰化した者は、三世代を経ない限り、公務に就くことができない」などの外国人排除方針にもまったく共感しない。
遺伝子組み換え食品の排除と共に異論が排除され、権利や自由が奪われる社会にしてはならない。政策の一部ではなく全体を見て投票してほしい。(宮本有紀)
▼「なんで沖縄の子だけこんな理不尽なことを当たり前に押しつけられているのか......悔しい」。8月16日公開のドキュメンタリー映画『ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう』で、沖縄県宜野湾市の女性が語る言葉だ。米軍基地周辺の湧水などからは高濃度のPFAS(有機フッ素化合物)が検出されており、基地が汚染源である蓋然性が高い。沖縄の基地負担は、住民の暮らしに欠かせない飲料水にも暗い影を落としている。
PFASの問題は元来、戦争と強い結びつきがある。熱や腐食に強いPFASは原子爆弾のコーティング剤として使われていた。
広島県東広島市の80代の女性は、映画の中で「なんで(米軍から)2回もやられにゃいけんのか」と憤る。同市内には米軍川上弾薬庫があり、近くを流れる瀬野川水系や地下水からは国の暫定指針値を超えるPFASが検出された。女性はこの井戸水を飲んでいた。女性は被爆者でもあることから、「2回」という言葉が出た。7月4日号で小説家の豊永浩平さんが「80年前の出来事は今の沖縄と地続きにあり、その先に日本全体がある」と言ったことが思い出される。
『ウナイ』を監督した平良いずみさんのインタビュー記事を8月上旬発売号で掲載する。(平畑玄洋)
