週刊金曜日 編集後記

1186号

▼狛江市長はセクハラを認めて辞任し、日本大学アメフト部監督も事実関係を認めないながらも責任をとって辞めるのだそうだ。森友学園と加計学園の疑惑にからむ数々の隠蔽と改竄と虚偽発言にまみれ、最も辞めるべきあの男は、妻ともども口先だけの否定で(つまり、まったく論拠を示さず)恥知らずな答弁を続けている。
 安倍政権と自民党と公明党、それに連なる官僚たちの言動は「公正」とか「責任」とか「誠実」という言葉を死語にしようとしているようだ。都合の悪いことは隠蔽し、改竄し、記録が出てきたら否定しまくる。嘘と言われようが「覚えてない」と言い続け、自分が"膿"なのに臆面もなく「膿を出し切る」などと開き直る。
 本号で、韓国の政権とメディアの癒着を暴いたドキュメンタリー映画『共犯者たち』の崔承浩監督は「子どもたちに悪いメディアとともに人生を過ごさせてはいけない」と語っている。不公正、無責任、不誠実を日々実践中の悪い政権とともに、日本の子どもたちは人生を過ごしている。(片岡伸行)

▼米朝首脳会談中止の報を受け、菅官房長官は「安倍首相が、トランプ氏の決断を支持すると言った。たった1カ国です、世界でも。」と語った(「朝日新聞」5月26日)。会談が中止になって喜ぶ世界でたったひとつの国。これのどこが誇らしいのかは理解不能だが、普通に考えれば恥ずべきことだろう。
 そして、双方が観測気球を上げ、好条件を得るために水面下で駆け引きをしている最中に、右往左往し、声明を出してしまうお粗末さ。日本の外交レベルの低さを露呈しているようなものだ。
 さらに「私どもが考えていた方向に物事が回り始めてきている。安倍首相の外交努力によって、トランプ氏を引き込んで、圧力をかけ続けてきた(結果だ)。」とも語った。どう転ぼうが安倍首相のおかげで、彼の功績になるのだろう。
 であるならば、その手腕で、ご自身の一連の疑惑もいい加減解明したらどうだ。南北問題は蚊帳の外に置かれ、米国頼みでも、当事者であるモリカケ問題はそうはいかないだろう。(尹史承)

▼いったいこの国は、われわれに何をしたからといって隣国を滅ぼして植民地にし、その国の人々の言葉と名前、尊厳を奪ったのか。しかもそれを実行したり、煽動した輩の肖像を紙幣に収めるというのは、正常な神経なのか。いったい隣国の人々が何をしたからと関東大震災で多数を殺め、戦争になると「帝国臣民」として死地に送り、女性を性奴隷にし、炭鉱や鉱山で強制労働をさせ、戦争が終わると民族教育を禁じてこどもたちを学校から放逐したのか。そして今また民族教育の場を高校無償化から除外し、そこに学ぶ女性徒に制服の民族衣装を着られなくしたのか。彼らの民族性に対する侮蔑が、なぜこれほどまでに社会で溢れているのか。そして何よりも、過去と現在のこうした悪行を、どうして懺悔と羞恥の対象として自覚できないのか。誰しも「日本人」という出自は、おのおのの選択の結果ではない。だがこのままでは、それは末代まで恥知らずと道徳的欠損、健忘症の同義語と見なされ続けるほかない。(成澤宗男)

▼テープ版読者会代表の舛田妙子さんが去年の11月6日にがんで亡くなられてから7カ月が経つ。亡くなられるひと月前から本誌の音訳版は中断せざるを得なくなっている。今年の2月に音訳ボランティアの方たち関係者が50人集まり「偲ぶ会」が開かれた。
 復活を目指すも、音訳版読者が『週刊金曜日』をどのように聴き、休刊されたいま、どんな気持でいるのか、お聞きしたかった。電話取材はまだ寒い2月下旬。4月の掲載予定が「アベウソだらけアホ国会」のせいで延びてしまった。すみませんでした。
 ですが、掲載時期がずれたお蔭で、取材者には今号6ページ分の「音訳版」を墨字本と一緒に送ることができる。テープ版読者会の矢部信博さんとボランティアの方の協力なくしてはできないことでした。感謝します。
 写真やマンガの音訳ならではの解説、読み方の調子ひとつで随分記事の印象が違ってくることなど、墨字本読者のひとりとして発見は多い。(土井伸一郎)