週刊金曜日 編集後記

1177号

▼『焼肉ドラゴン』や『パーマ屋スミレ』で戦後日本でたくましく生きる朝鮮人の姿を描いた鄭義信さんの新作『赤道の下のマクベス』(3作品ともに作・演出)が上演中だ(25日まで、新国立劇場)。今回の舞台は終戦直後のシンガポールの刑務所。日本人と、日本人として裁かれた朝鮮人のBC級戦犯たちの死刑までの物語である。
 先日、元BC級戦犯の季鶴来さんの話を聞いた。くわしくは記事化をお待ちいただきたいが、劇中で誰のために死刑になるのか自問自答する朝鮮人軍属が描かれるように、李さんは仲間の無念を晴らすために今でも日本政府に謝罪と補償を求める活動を続けている。
 一方、鄭さんの父親は日本軍の憲兵だったので戦後は対日協力者として辛い目に遭った。だから、書いておきたいテーマだったという。劇中、10年先に誰かに理解してもらおうと、朝鮮人軍属が今の気持ちを手紙に書き、仲間に手紙を託す場面がある。それは私たちに託された手紙だ。李さんに見せていただいた『世紀の遺書』(巣鴨遺書編纂会)にもそんな文章が収められている。(吉田亮子)

▼成人年齢が18歳に、かたや公務員の定年は65歳になるかもしれません。これらの制度変更が社会にどんな影響をおよぼすのか、あるいは何の影響もおよぼさないのか、なかなか興味深いところです。報道によると、諸外国では18歳成人が一般的だそうで、これまでの20歳成人が過保護(?)だったのでしょうか。
 成人といえば今年の成人式、晴れ着が届かなくて泣いている女性の映像が、ニュースでイヤというほど流れました。20歳当時(遠い目......)、「成人式に晴れ着を着る意味がわからない」と考えていたおばさん(私)はちょっと複雑......。もちろん悪徳業者は厳しく罰せられなければなりませんが、成人式の定義づけが、かなり変わってきているのですね。
 公務員の定年引き上げは、年金支給開始年齢引き上げへの布石でしょうが、自分たちが65歳でもらえることはあり得ないのがわかっている世代にとっては、じゃあ自分たちのときにも定年を延長しろ、とならないでしょうかね? そのうち75歳定年とかになっちゃったりして。(渡辺妙子)

▼先日、第二東京弁護士会から、ある勧告書が出された。渋谷区の長谷部健区長に宛てられたもので、2012年に同区が美竹公園や区役所人工地盤下駐車場、区役所前公衆便所を一斉に閉鎖し、野宿生活者を追い出した行為を「人権侵害に該当するものである」と認定。適切な説明、必要な援助、話し合いによる解決を優先するよう勧告した。「(野宿生活者の)生存権に及ぶ支障が最小となるよう」、支援団体と事前に十分な協議を行なうことを求める要望書も出された。
 同区では強硬手段によって、野宿生活者が生活の場を追われる事態が頻発している。長谷部区長は、「マイノリティに寛容であることは、成熟した都市の条件」と述べているような人物だが、まったく実態は伴っていない。東京でのオリンピック開催まで約2年。その舞台のひとつとなる同区をはじめとして、マイノリティ追い出しの動きは大きな懸念事項であり、事実として進んでいる。「不寛容」を許さないためにも、まずはこうした事実があるということに目を向けていく必要がある。(渡部睦美)

▼冬から春へ、ドラマも入れ替わりの時期。この冬は視聴完走したドラマが多く大忙し。レギュラーも加えると1日1本以上。ふぅ。
 当然、先週号のこの欄にも登場した「アンナチュラル」も。いろんな要素がとてもバランスがいいドラマだったと思います。
「anone(あのね)」クライムドラマなので、途中から悲劇の予感で心がざわきつつも目が離せず。
「海月姫」瀬戸君の声と美貌とのギャップ萌え。美し過ぎる。
「トドメの接吻」今クールのタイムリープドラマ対決勝者。「リピート~運命を変える10か月~」とパラレルは脳みそのキャパオーバーで断念。
「99.9―刑事専門弁護士― SEASON II」安定しすぎてもはやレギュラー感。シーズン3も充分あり。「BG~身辺警護人~」、「誤差なし」は金曜日社内で通じず。
 春ドラマ、きっと見るディーンさんの「モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―」。好きな俳優さんの巌窟王は二度目。遥か昔の「日本巖窟王」草刈さんを思い出しました。(志水邦江)