週刊金曜日 編集後記

1171号

▼沖縄県名護市長選の開票状況は、琉球新報社(フェイスブック利用)や琉球放送(ユーチューブ利用)などがインターネットで生放送しました。結果や両候補者の声を自宅で聞きながら、さまざまな感情がわきあがりました。
 その最中に、なにをしていたかというと、この季節恒例の「花粉症対策カレー」を大量につくること(写真は小誌公式ツイッターに載せています)。なにをのんきに、と反発する読者がいるかもしれませんが、これからさらに忙しくなります。食事準備の時間短縮と体調管理を兼ねているのです。落ち込んでいるヒマはありません。
 さて、俳人協会(大串章会長)は1月27日、第57回俳人協会賞に、櫂未知子さんの句集『カムイ』(ふらんす堂)と須賀一惠さんの句集『銀座の歩幅』(角川文化振興財団)を選びました。櫂さんは、ご存じの通り本誌俳句欄の選者を務めています。心から祝福したいと思います。(伊田浩之)

▼2月4日。名護市長選の日に、音訳版の制作者であった舛田妙子さんのメモリートーキングの会があった。音訳版をともに作ってきた矢部信博さんによると、「舛田さんは選挙が好きだった」という。マニフェストの音訳版もつくったことがあるとか。図書館などで提供される無料の音訳版だけでは、圧倒的に情報が足りない。「視覚障がい者に情報格差が生まれるのは我慢ならない」との思いが、舛田さんの原動力と話す人もいた。
「『金曜日』の人は、声を出して記事を読んでみたことあるのかな。一文が長かったり、わかりにくい記事が多い」。舛田さんと出会った頃に言われた言葉だ。それから、校了前には音読するようになった。一文が長くなるたび、この言葉が蘇り、記事を直す。会では、約15年ぶりに高校時代の恩師に再会した。舛田さんがつないでくれた縁。そして舛田さんの思いがつないできた音訳版。継続していく方法を模索したい。(渡部睦美)

▼仮想通貨「NEM」の大量流出問題が世間を大きく賑わしています。流出金額は580億円(!?)だとか。仮想通貨といえば、2014年3月に「ビットコイン」取引所のマウントゴックス社から時価115億円相当のビットコインが消失した事件を思い起こしますが、そのビットコインは1BTCが230万円になったこともあるというから驚きです。
 ビットコインは、国家が信用を担保するのではなく、多数の第三者が取引の「正しさ」を証明していくことによって信用が生まれる、という考え方に基づき設計された通貨。従来の通貨の価値感を転換しうる可能性に面白みを感じたものの、当時、デジタル通貨企画にご登場いただいた斉藤賢爾さんは、ビットコインは「『お金』の匂いがしたからこそ、みんなが群がっている。従来の通貨の概念を360度変えただけ」だと(14年7月4日号)。それが証明されたように思います。(弓削田理絵)

▼週末に最寄り駅の駅前書店に行ったら、来月半ばで閉店とのこと。その書店は児童書コーナーが独立していて絵本などのキャラクター物も置いてあり、新学期に向けて購入予定のものなどたくさんあったので、あわててまとめ買いした。
 先月、近くのショッピングセンター内の書店が閉店していたのに気づき、親子で落胆したばかりである。最寄り駅近くには3店の書店があり、それぞれチェーン店なのだが、このご時世に、行ける距離に3店もあるのはありがたいと思っていた。それがあっという間に、来月には1店になってしまう。親子で本屋さんに行くのが好きで、毎週末どこかの店に行っていたが、毎回必ず何か買うわけではない。それが3店に分散されていたわけだから、それぞれにいい客だったわけではなかったなと思う。
 まとめ買いを手提げ袋に入れてくれている店員さんに、残念ですショックですと言ったら、「私たちもです」と。(佐藤恵)