週刊金曜日 編集後記

1127号

▼東京・銀座の教文館ウェンライトホールで開催中(12日まで)の展示"だるまちゃんといっしょに「けんぽう」を読もう! なにが書いてあるの? 日本国憲法"を見にいった。親子が共に見ることも想定してか、現行憲法条文とそのやさしい訳、英文訳、自民党の改憲草案が壁に貼られ、97条には「次の世代へ渡す自由への手紙なんだね」、9条には「理想を引き下げて現実に妥協するか。理想を高く掲げて一歩でも近づこうと努力するか」などの吹き出しがつけられていたりと工夫が感じられる。
 24条は自民党草案の隣に「立憲主義の究極の価値は個人(の尊重)にあるのでは?」とツッコミが書かれていて心の中で拍手。国民投票法の説明の脇に「自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」という茨木のり子さんの詩の抜粋があったりと、書店らしい展示も楽しめた。
 憲法関連本を紹介するコーナーに、小社刊行の『日本国憲法』(伊藤真=著・長倉洋海=写真)を発見。手書きの説明文を嬉しく読んだ。取り上げてくださった方に御礼申し上げます。(宮本有紀)

▼先日、ある会合での質問。
「自分だけがある人から挨拶されなかったら、その人に何かしたのではないかと思うか、それともその人は変な人だと思うか」
「その人が変!」と答えたのは私ぐらいだった。もちろん、何かまずいことをしてしまったのかもと頭をよぎらないわけではない。でも、直接言われていないことを考えても仕方がないでしょ。
「○○さんがあなたのことをこんなふうに批判していた」
 他人の意見をこうやって、ご親切にも伝えてくれる人がときどきいるが、このやり方も受け付けないことにしている。他人の言葉を利用して自分の意見を伝えるのではなく、自分自身の言葉で自分の意見を言ってくれ、と思う。
 直接言われなくても察して動く社会。空気を読むことがよいとされ、忖度し、先回りするような今の風潮が政治や社会をおかしくさせている。森友学園問題はその典型かもしれない。安倍首相が何も言わなくても、役人たちが空気を読んだことが問題の背景にあるのではないか。(吉田亮子)

▼今年度の保育園役員の引継ぎが終わってほっとしているところである。役員の仕事で一番大変なのは、次年度の役員決め、だと私は思っていたが、くじ引きをすることなく立候補で決まった。事前に打診をした方には悪いことをしてしまっただろうか、しかし、役員というのは保育園においては、悪くない体験だと思う。園にもよるかもしれないけれど。
 今年度は、園でトラブルがあり(私たちにとっては、ある保護者の一方的なクレームが発端であり、まったく共感できない内容で、園に同情している)、職員の休職や交代や異動などが年度途中で複数あり、役所の説明会が開催されたり、警備員が出入りしたり、保護者たち大混乱で、該当クラスのお母さんたちの涙を目にしたり、役員は状況を聞かれ説明に困ったり、本当につらい年だった。
 待機児童が多い地域だし、多くの保護者はそんなに園を選べない。なんとか入園できたうえ、平和に過ごせるというのはよほどラッキーなことなのか。贅沢なのか。(佐藤恵)

▼2月から始まった「プレミアムフライデー」。なぜ当初はたいていの企業が忙しくなる月末の金曜日に設定したのか。謎だ。世耕弘成・経済産業大臣って、一般企業の広報部に勤めたことがあるんじゃないの? そして「プレミアムフライデー」のPRを担当しているのが博報堂だから電通では実施しないと言われているが、そういう問題か。過労死事件と真に向き合い、会社の体質を改善すべきだ。
 そこで「第17回目金曜日文庫」のテーマは「電通の正体」。弊社刊『電通の正体』は電子版も大好評発売中だ。その執筆をした弊誌編集主幹の平井康嗣と、編集委員の佐高信さんが過労死事件だけでけではない電通の正体に斬り込む。日程は3月16日(木)18時開場、18時30分~20時です。場所は、いつもと同じ寺島文庫(東京都千代田区九段北1-9-17 寺島文庫ビル1階)。参加費は1000円(1ドリンク付)で先着30人、要申し込み。申し込み先はFAX・03・3221・8522、またはMail・book@kinyobi.co.jp。皆さまのご参加をお待ちしてます。(赤岩友香)