ウクライナ侵攻

  • プーチン氏を追い込む世界的な反戦のうねり
    編集長・文聖姫

     ロシアのウクライナ侵攻で民間人の犠牲者が増え続けている。3月6日現在でウクライナ市民の死者は子ども22人を含む351人に達した(国連人権高等弁務官事務所調べ)。国連によると、ウクライナから国外に退避した人は150万人超にのぼる。『週刊金曜日』はいかなる戦争にも反対することを改めて表明しておきたい。
    "ロシア軍はウクライナ南東部にある欧州最大級のザポリージャ原子力発電所を占拠したが、これに先立つ同発電所施設へのロシア軍の砲撃で火災が発生した。原発が生命と環境に対するリスクそのものであることを、世界の政治指導者は改めて自覚した方がよい。プーチン氏は「核戦力」にも言及している。
     一方で、侵攻の背景には、北大西洋条約機構(NATO)によるロシア包囲網が築かれたことへの不満がある。NATOをロシア包囲網として積極的に利用したのは米国ではなかったか。同時に米国は、イラクやアフガニスタンや中南米でやってきた国際法違反の侵略戦争や政治介入が今回のロシアと同じ行為であることを認識する必要がある。
    40年ぶりに開かれた国連の緊急特別会合は3月2日、ロシアのウクライナ侵攻を非難する決議案を141カ国の賛成多数で採択した。反対はロシアを含む5カ国、中国やインドなどは棄権に回り、ベネズエラなど12カ国は投票しなかった。
    圧倒的多数がロシアに「ノー」を突きつけた。世界各国で、そしてロシアで、ウクライナからの即時撤退を求める反戦デモが繰り広げられている。プーチン氏はこうした国際社会の声に真摯に耳を傾けるべきだ。

  • クリミア占領で抜き差しならぬ対立関係に
    8年にわたるロシアとの戦いの末に迎えた戦争
    駒木明義

    ロシアのウクライナ侵攻はどうして起きてしまったのか。両国が抜き差しならぬ対立関係に陥ったのは、ロシアがクリミア半島を占領した2014年にさかのぼる。

  • 半田滋の新・安全保障論
    背景にはロシア包囲網として
    NATOを利用した米国の存在

    プーチン大統領はなぜ、侵攻に踏み切ったのか。この間、専門家らによるさまざまな理由があげられているが、その一つに米国の存在があると筆者は分析する。

  • 各国はどう向き合うのか

    ロシアの軍事侵攻に対する各国の姿勢が問われている。各国の向き合い方を分析する。

    【中国】曖昧な態度を維持しつつ、「冷戦思考」批判/佐藤さとみ
    【ドイツ】対ロシアへの慎重姿勢を転換、軍備増強も/神野直
    【フランス】一蹴されたプーチン大統領との直接談判/コリン・コバヤシ

  • 廣瀬陽子・慶應義塾大学教授が縦横に語る
    追い込まれるプーチン氏
    戦争長引けば政権崩壊も

    ロシア、コーカサス地域研究を専門とする廣瀬陽子・慶應義塾大学教授が3月2日、日本記者クラブ主催による会見・研究会で、プーチン・ロシア大統領のウクライナ侵攻の背景などを縦横に語った。講演内容を編集部の責任で要約・構成し、掲載する。

  • Q&A 記者団との質疑応答から

    日本記者クラブが主催した廣瀬陽子慶應義塾大学教授の講演のあと、記者団と廣瀬教授との間で質疑応答が行なわれた。以下、抜粋して掲載する。

3・11から11年
甲状腺がん多発と原発事故

「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ、莫大な国富が消え去りました」。東京電力福島第一原発事故について小泉純一郎氏ら元首相5人が、まっとうな事実を指摘する声明を発表したところ、日本政府や福島県などが一斉に反発した。一連の動きを振り返るとともに、がん多発と原発事故との関連について考える。政府などの主張には根拠はあるのだろうか。

  • 国などの猛反発は、見せかけの「復興」に
    水を差しかねないという危機感の裏返しか
    笠井哲也
    福島県内では、5人の元首相の書簡について行政や原発事故の影響を否定する大学関係者などの間から、異様ともいえる反発の声があがっている。しかし、「原発事故による放射線被曝の影響は全くない」と言わんばかりの対応で苦しむのは、現実に数多く存在するがん患者であり、住民ではないのか。
  • 「科学的知見に基づいた発信」を支える“科学”の実態 榊原崇仁
    「福島県での甲状腺がん多発」について、日本政府や福島県は、福島県の「県民健康調査」検討委員会や国連科学委員会(UNSCEAR)の報告を援用した上で被曝による健康被害を事実上、全面否定し、「科学的知見に基づいた発信を」などと訴えた。しかし、彼らは胸を張って「科学」を語れるのか。近著『福島が沈黙した日 原発事故と甲状腺被ばく』(集英社新書)で、「専門家」の権威を借りた被害矮小化論を告発した榊原崇仁『東京新聞』記者に寄稿いただいた。情報開示請求で明らかになった「彼らの科学」とは何なのか。
  • 歓喜へのフーガ(19) 〔上〕今回のお相手 小出裕章さん 元京都大学原子炉実験所助教
    原発は科学の問題ではなくて差別の問題だ 聞き手 崔 善 愛
  • 異形の電柱 写真・文/稲宮康人
  • 不謹慎な旅(45)前期旧石器捏造事件
    「神の手」が残した「原人」 写真・文/木村 聡
  • らんきりゅう(3)
    コロナ禍3年目、
    限界まで来ている人々の苛立ち
    雨宮処凛
  • 話の特集 第592集
    はまぐりのねごと(114) 中山千夏
    下段倶楽部(114) 矢崎泰久
    なまくらのれん(201) 小室 等
    写日記(201) 松元ヒロ
  • メディアウオッチ
    性暴力を「ギャグ」「コミュニケーション」と
    正当化し娯楽ネタにする価値観と訣別を
    太田啓子

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