原発と差別
放射性物質を大量に取り扱う原発は、本質的に危険である。燃料に必要なウラン鉱石の採掘時点から被曝者を生み出す。人口がまばらな地方に原発は建設され、被曝することが前提の点検整備は下請け・孫請け労働者が担う。発電後には、数万年以上の半減期を持つ放射性物質さえ生み出されるが、その処分方法は決まっていない。この危険な原発を押しつけ、動かすために不可欠だったのが差別の容認であった。「カネさえばらまけば賛成派に転ぶ」「カネが良ければ危険でも働く」とは、地域住民や労働者への露骨な蔑視にほかならない。そして一度事故が起こると、今度はそこで暮らす人々を差別する許せない現実がある。差別を利用し、温存させ、再生産することこそが原発の本質なのだ。
■何重にもピンハネされた日給で過酷な労働 搾取される原発作業員 三浦直子ときに仕事の内容も知らされず危険な労働に駆り出される原発作業員たち。給料は元請け、下請け、孫請けと中間搾取され、作業員が手にできる日給はわずかな金額だ。その実態と、構造上の問題とは。■対談 鎌田 慧 × 樋口健二 差別構造がないと原発は動かない原発の現場を長年にわたって訪ね歩いてきた人たちがいる。一人はペンを手に、一人はカメラを手に。そこから浮かび上がってきたものはなにか。原発は本質的に危険だから犯罪や虚偽を動員する(鎌田)放射線渦巻く中に労働者を突っ込んで殺していく産業(樋口)■ウランの採掘・精錬による健康被害 見捨てられる先住民族 豊崎博光世界18カ国で行なわれているウランの採掘と精錬。その約75%が、先住民族の居住地周辺に押しつけられていることをご存じだろうか。肺ガンなどの疾患をもたらすこの{致死性の元素}は、先住民族の人々を苦しめ続けている。そこには明らかな人種差別が存在するのだ。■施設の利用拒否、学校でのいじめ 偏見に苦しむ福島県民 岩本太郎
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