週刊金曜日 編集後記

1083号

▼<保育園の切れ目が雇用の切れ目><"良き夫"言うよね「ゴミ出ししてますよ」><パート月額25万円 紹介してよ、安倍総理><ロマンチックじゃ済まないの 姓を変えるってとっても大変><「責任者出せ!」男性が出るまで終わらない>......「明日の自由を守る若手弁護士の会」が募集し、3月26日の24条憲法カフェで発表された「女性輝く(はずない)アベ政治カルタ」の一部である。
 産め、介護しろ、そして働けというけど夫は家事しない(もしくは長時間労働で時間がとれない)し、保育園も入れないし政治は何もしてくれない! 会社では「責任者は男性」で女性は下っ端扱いだし、法律婚したら姓を変えるのは96%以上女性。男女平等なんていつ実現するんだ、これでどうやって輝くんだ! という女性たちの怒りが伝わってくる。
 この怒りを甘く見ていると、そのうち女性に見捨てられる。誰もこの国で産み育て暮らしたいと思わなくなったら、本当に「日本が死ぬ」日がくる。(宮本有紀)

▼昨年暮れに母が亡くなり、親戚への挨拶を兼ね、母と私の出身地の長崎県を息子(母にとっては孫)とで回った。20歳の息子にとっては、初めての地。平和公園や原爆資料館などは、「勉強臭」を嫌うかもと懸念したが、まったく杞憂で、彼なりに衝撃を受けているのが口数少ない態度から伝わってきた。
 そもそも親戚への挨拶といっても、被爆でほとんど亡くなり、会えたのは母のいとこの女性だけ。それでも、先祖が浦上の"潜伏キリシタン"だったことを聞かされて吃驚の様子。たまたま、旅のスタートが16世紀の弾圧で宣教師ら26人が殉教した記念館だったし、大浦、平戸など巡った教会の「世界遺産」登録の争点が、「潜伏期」の扱いにあるとの話も聞いたから、歴史が不意に目の前に現れたような気がしたらしい。世界遺産では、三菱重工の「小汚い」(息子談)クレーンが選ばれていて、荘厳な浦上の教会が、なぜ、候補にすら入ってないのかも納得がいかないようだったが、答えは自力で見つけてほしいと思う。(山村清二)

▼4月2日(土)、今年もNPOエンディングセンターによる桜葬メモリアルが東京・町田いずみ浄苑で行なわれた。1日を通して、仏教、神道、キリスト教、無宗教、それぞれの形で、樹木葬で送った人への追悼が行なわれ、約300人が参加した。桜葬らしく、苑内はちょうど桜がきれいだった。
 桜葬の運営を行なうエンディングセンターの理事長、井上治代さんは2014年6月27日号の「脱・混迷ニッポン」(山岡淳一郎著)で取り上げた人物だ。今年になってもまだ編集部に問い合わせがあるなど、樹木葬への関心は高い。既存の葬り方に満足していない人が多いということなのだろう。
 2月、友人のご両親の納骨がここ桜葬(樹木葬)で行なわれた。骨壺から土に溶ける袋に骨を入れ替え、細長く掘った穴に入れ、また土をかける。そして、骨は土に還ってゆく。私の両親は自分たちの墓をどうするつもりなのだろう。近いうちに、ここに見学に連れてこようか。(吉田亮子)

▼本誌もついに電子版を出すことになり、App StoreとGoogle Playストアで4月1日号から販売しています。いくつか「定期購読契約を変更したい」というお問い合わせをいただいています。Android・iOSの電子版『週刊金曜日』は制作販売を他社に委託しております。そのため、紙版の定期購読と契約を連動させることはできません。ご了承ください。もちろん従来通り、定期購読、書店での販売は続けて参ります。電子版は紙で出す雑誌があってこその販売形態ですので、必要に応じて選んでいただければ幸いです。
 もうひとつ、昨年「金曜日」も参加しました「平和の棚の会」のブックフェアが千代田区神田神保町の東京堂書店神田神保町店で「平和力を付ける本―暴力と貧困のない世界へ」と題して4月25日から始まります。期間は一カ月です。期間中はさまざまなトークイベントを行なう予定です。是非、お立ち寄りください。(原田成人)