‘原発’ タグのついている投稿

「原発と人権」ネットワークの発足記念シンポジウムで講演する鎌田慧さん。(撮影/赤岩友香)

 まもなく東京電力福島第一原発事故から二年が経つが、安倍政権をはじめ原発推進の力が盛り返している――。

 原発のない社会を実現するため、法律家、自然科学者、社会科学者、ジャーナリスト、市民など、ジャンルを超えた人々が協働する場を作ろうと「『原発と人権』ネットワーク」が発足。参加団体は、脱原発弁護団全国連絡会、日本科学者会議、日本ジャーナリスト会議など一一団体だ。

 発足記念のシンポジウムが一月二五日、東京・青山学院大学で実施され、約一〇〇人が参加した。記念講演をしたルポライターの鎌田慧さんは、辞職を決意した福島県双葉町の井戸川克隆町長を「究極の悲劇的な町長」だと表現。原発を推進するため、東電が多くの金を投入し、反対運動を潰してきた例を挙げ、原発は「人心を荒廃させる」と批判した。

 特別報告の中で、脱原発弁護団全国連絡会の共同代表・河合弘之弁護士は「3・11が起きてから一年ぐらいは(原発差し止め訴訟の)裁判官の態度がよくなっていたが、推進側の力が盛り返し、また以前の状態に戻ってきている」と述べ、脱原発の法律化の必要性を強調。同じく共同代表を務める海渡雄一弁護士は、低線量被曝がどのような被害を及ぼすか科学的にわからないことを前提とした、子ども被災者支援法の重要性を訴えた。

「原発と人権」ネットワークの活動として、(1)全国の脱原発訴訟や被害者訴訟などが一覧できるホームページの立ち上げ(URL http://genpatsu-jinken.net)(2)学習会などの企画(3)「原発と人権全国研究交流集会」の開催――などに取り組む。

 昨年末の衆議院議員選挙では脱原発の力を結集できなかった。まずは今夏の参議院選挙で脱原発を掲げる国会議員を一人でも多く国会に送り込むことが一つの鍵となるだろう。

(赤岩友香・編集部、2月1日号)

「監視する市民の会」主催で行なわれた政府交渉での後藤政志氏(中央右)。(提供/荒井牧)

 原子力規制委員会の検討チームが、原発「新安全基準」の策定を急いでいる。新安全基準は、原発再稼働の前提条件であり、住民の命に関わる重要なもの。しかし、利益相反が問題となっている学者や原子力関係者の限られたメンバーの検討だけで決められようとしている。今年七月に期限を定め、一月二一日に骨子案をまとめるという強行ぶりだ。急ぐ理由は電力会社が早めに工事にとりかかれるようにするためとも言われる。

 検討チームから原発に批判的な専門家は排除されており、住民や被災者からのヒアリングもない。一方で、電力会社からのヒアリングだけは実施し、これが実質的な事前審査の場となった。

 骨子案の中身も問題だ。新安全基準は、東京電力福島原発で生じた炉心溶融事故を含むシビアアクシデント(過酷事故)を盛り込むことが目玉だ。しかし骨子案は、従来の設計基準は原則変えず、シビアアクシデント基準を別立てとし、設計変更ではなく、移動式の電源車や注水設備などによる対応でも再稼働を許すものとなっている。しかし、たとえば移動式の注水設備はつなぐのに一〇時間もかかり、事故には対応できないとヒアリングの場で電力会社が吐露している。地震により構内の道路が使えなかったり、線量が高くて作業ができなかったりといったおそれもある。

「監視する市民の会」主催の政府交渉の場(一月二三日)で、元ストレステスト意見聴取会委員で原発技術者であった後藤政志氏は、原発事故で露呈した、格納容器の設計上の欠陥について、目をつぶっているのも問題だと指摘した。

 検討の方法や中身においても問題のある基準で安易に再稼働を許すことがあってはならない。二月上旬にも予定されているパブリックコメントに対し、批判的な意見や疑問を集中してほしい。

(阪上武・原子力規制を監視する市民の会、2月1日号)

 大阪府警察・公安第三課により、威力業務妨害罪と不退去罪の容疑で自宅で令状逮捕、勾留されていた阪南大学准教授・下地真樹さん他一人が昨年一二月二八日、釈放された。大阪府警は一〇月から、この二人を含む九人を逮捕しており、うち一人は起訴後に再逮捕されている。

 下地さんは、釈放報告会で「令状逮捕で、府警の狙いは起訴だと感じた。起訴されず釈放されたことはさし当たっての勝利。救援運動が広がりを見せたことが起訴されなかった要因だと思う」と語った。

 今回の逮捕には全国から批判が集中し、一二月一七日には「憲法上強く保障された表現の自由を不当に侵害」するものだとする憲法研究者による抗議の緊急声明が出され、釈放を求める署名運動も活発に行なわれた。署名の呼びかけ人である京都大学原子炉実験所助教・小出裕章さんは「権力が推進することに異を唱えれば、圧力が必ずかかる。大変けしからんことだが、権力とはそういうもの」と述べた。

 確かに今回の件は「権力が推進すること」に異を唱えた市民への弾圧という構図が鮮明だ。救援関係者は、がれきに限らず、今後の原発再稼働に伴う反対運動を封じ込めたいという権力側の強烈な意思を感じている。

 また、一連の弾圧の発端は昨年六月の大飯原発再稼働反対で、ゲート占拠・封鎖を行なったAさんの逮捕。行き着くところは「路上の表現の自由」への弾圧になるとして、「関西大弾圧救援会・東京の会」が立ち上がった。

 東京の会の中心となる園良太さんは、東京都江東区の野宿者排除に反対し、逮捕起訴され、現在公判中の青年である。園さんは「大飯のA氏、大阪の五人と、今後も不当な目に遭うすべての人を救援する。どんな組織か、どこの所属の人か、一切問わない」としている。

(真野きみえ・ライター、1月11日号)

「原子力安全に関する福島閣僚会議」は日本政府から玄葉光一郎外務大臣が出席した。(撮影/おしどりケン)

 IAEA(国際原子力機関)の「原子力安全に関する福島閣僚会議」が一二月一五~一七日、福島県郡山市で開催され、IAEAが除染や健康評価などについて福島県に協力していく、という覚書に署名が交わされた。

 会議に先駆けて九日に行なわれた地元説明会に参加した住民はわずか二五人。「事故があった福島で原子力『安全』に関する会議とは何だ。『危険』に関する会議ではないのか」(三〇代女性)、「福島県は脱原発を明言したが、そこでなぜ原子力推進のIAEAが会議をするのか」(四〇代女性)など、ほとんどが会議に際して批判的だった。

 地元説明会を主催した外務省は「IAEAの目的は原子力の平和的利用の促進と、核兵器転用の防止。会議名は今さら変更できない」と説明。この会議の目的の一つがIAEAの天野之弥事務局長と佐藤雄平福島県知事の署名式だとわかると説明会はさらに紛糾した。

「私たちはIAEAが福島に来ると知って勉強した。一九五九年にWHO(世界保健機関)とIAEAが結んだ協定を知っているのか」

 五〇代女性がそう質問すると、外務省は何と「五九年の協定については知りません。不勉強ですみません」と回答した。

 この協定で健康調査の主導権はIAEAに移った。二〇〇九年にはWHOの被曝の専門部局も廃止。WHOは被曝問題に関して、公平な評価をしていないと、批判する団体や医師も世界に多い。

 また、「福島県とIAEAの覚書の詳細は何だ。健康に関してどのようなことを始めるのだ」(五〇代男性)という問いには「詳細は知らない」と明らかにされなかった。

 一二月一五日の本会合の署名式で明らかにされた内容に筆者は驚いた。覚書にある「人の健康の分野における協力に関する福島県立医科大学とIAEAとの間の実施取り決め」の部分である。

「IAEA憲章上の任務を尊重しつつ知的財産は相互に協議」

「他方によって、秘密として指定された情報の秘密性を確保」

「両当事者は、日本国政府が六三年四月一八日にIAEAの特権及び免除に関する協定を受諾したことに留意」

 六三年協定は、IAEAの財産などに関する訴訟・捜索・税等の免除や、IAEA職員及び専門家への外交特権付与が主な内容だ。

 協力関係といいながらIAEAにかなり主導権、特権がある取り決めではないだろうか。しかも資金の項目は「日本国政府からの資金の利用可能性に従う」とある。

 福島閣僚会議には約一二〇カ国が参加し、代表演説を四六カ国が実施。内容は「この会議はアフリカにとって重要。わが国も原発はないがこれから作りたい。そういう国々にとって重要」(ザンビア)、「福島原発にもウランをたくさん輸出した。これからももっと輸出していく」(ナイジェリア)、「津波と地震でたくさんの方が亡くなったが原発事故では一人も亡くなっていない」(エジプト)など、アフリカをはじめ、米国、ロシア、韓国など原子力推進の演説が続いた。

 筆者は一一月六~八日に行なわれたOECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)会議も取材し、国立研究機関の研究者にこんなことを囁かれた。

「福島で原発事故があったが、世界ではこれからも原発がどんどん作られる。これからアフリカに作るため、住民にどうやって受け入れさせるかを考えている。そのことを踏まえて記事を書いてほしい」

 OECD会議では福島県住民にヒアリングして「住民は原発事故にあったが素晴らしい価値観と巡りあえたという。それは故郷を大切にしたいという気持ち。自分の手で除染をして住み続けたいという気持ち」とまとめられていた。

 IAEAが福島に入る真の意味は何か。覚書に署名をした佐藤知事に対し、筆者は「地元説明会で県民は原子力推進のIAEAに自分らの健康を評価されたくないと過半数が言っていたが」と質問した。知事の回答は「……ご理解していただくしかありません」だった。

(おしどりマコ・自由報道協会理事、LCMプレス、12月21日号)

 一二月一〇日、東京地裁六一五号法廷(吉田徹裁判長)。ジャーナリスト・田中稔氏の声が響く。

「九月二日、群馬県内のゴルフ場で、原告(白川司郎氏)を会長とするニューテックグループによるゴルフコンペが行なわれました。コンペ招待者には……パチンコ機器メーカーの代表・熊取谷稔氏、元警察庁生活安全局長の黒澤正和氏、元特許庁長官の吉田文毅氏……」

 原発警備会社ニューテック会長の白川氏が田中氏を訴えた「最後の大物フィクサー」裁判の第五回口頭弁論で、田中氏は、本誌一一月一六日号の記事「原発スラップ訴訟、白川司郎氏のゴルフコンペに集まった “大物” たちの名前」を証拠提出、白川氏の多彩な「仲間たち」を裁判官に示した。

 熊取谷氏はコスモ・イーシーの代表取締役だ。パチンコ設備の販売などで年間売上高約一一〇億円、パチスロメーカーのSANKYOなどと取り引きがあるという。S社は赤松広隆元農水大臣(民主)や甘利明元経産大臣(自民)の関連団体に献金(パーティ券含む)をするなど政治好きの会社だ。

 黒澤氏は警察庁退官後、「スロットマシンの検査、封印、管理及び証紙発行」を仕事とする電子遊技機工業協同組合の最高顧問となる。同組合には元国税庁の中村健二郎氏(監事)、元警察庁刑事局長・小林朴氏(顧問)もいる。

 経済産業省OBの吉田氏は特許庁の外郭団体「発明協会」理事長に天下るが、二〇〇四年、一億五〇〇〇万円に及ぶ人件費の水増しが発覚、引責辞任した人物だ。

 この日、白川氏の筆頭代理人・土屋東一元東京地検検事の姿はなかった。次回は来年一月二八日午後一時半、東京地裁六一五号法廷。

(三宅勝久・ジャーナリスト、12月14日号)

 東京電力福島第一原発事故以来、政府だけでなく多くの市民団体やNPO法人が、空間線量の計測や、モニタリングポストの検証を実施している。

 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)と国際環境NGO FoE Japanは共同で昨年六月以来、福島市内で空間線量が高い渡利地区と大波地区を継続して監視している。両団体は今年一一月一五日、参議院議員会館で、最新データである今年一〇月一四日の測定結果や現状分析を発表した。

 渡利地区は福島県庁や福島駅から二km程度の場所にある住宅街。住宅街を通る用水路中央部で毎時四・四マイクロシーベルト(μSv/h)、水路西側で三・七μSv/h、水路東側で三・五μSv/hを観測した。

 大波地区は福島駅から一〇kmほどの距離にある農村。S氏宅では昨年一二月に除染を実施した直後は庭で〇・五~〇・六μSv/hだったが、今回の調査では〇・七~〇・八μSv/hだった。除染後再び空間線量率が上昇している。両地区は、チェルノブイリ原発事故後のベラルーシやウクライナの「避難の権利ゾーン」に該当するレベルだという。

 また、大波農村広場は除染土が入るコンテナバッグの仮置き場となっているが、バッグの上面が開放状態のものもあり管理状態が悪く、二次汚染の可能性が指摘された。両団体は、除染は計画通り進んでおらず、かつ、除染の効果はきわめて限定的であるとし、住民の避難・保養などの被曝防護策を再構築すべきだと訴えた。

 選挙期間中であろうが、汚染は続く。住民には行政へのあきらめムードが漂っているという。政策の見直しは必至だ。

(赤岩友香・編集部、11月23日号)

福島地検への告訴・告発状提出には、全国から200人を超える告訴人たちが結集した。(撮影/明石昇二郎)

 一万三二六二人――。一一月一五日に福島地検に提出された第二次の刑事告訴・告発状に名を連ねた人々の数である。

 東京電力福島第一原発事故の刑事責任を問う集団告訴は、今年六月に先行して行なわれた福島県民による刑事告訴(一三二四人)と合わせ、一万四五八六人分にも達した。一つの事件でこれだけの規模の告訴・告発人が現れるのは、日本の刑事事件史上、むろん例のないことである。

 今回の集団告訴では、北海道をはじめ東北、関東、中部、甲信越、北陸、関西、西日本、九州など、全国から告訴人と告発人が続々と参集。今年二月に福島県いわき市で始まった集団告訴の動きは、翌三月の「福島原発告訴団」の結成を経て、ついに国民運動にまで発展した感さえある。

 この間、東京電力は一〇月に、同社の第三者委員会「原子力改革監視委員会」の場で、従来の「津波は想定できなかった」とする主張を撤回。

「事前の備えができていなかったことが問題で、対処は可能だった」

 との見解を明らかにし、津波対策の不備を認めていた。

 これは、「対処は可能」としない限り、同社の柏崎刈羽原発の再稼働に目途が立たないためだ。

 しかしこの方針転換は、事故の刑事責任を自ら認めることにほかならず、文字どおりの「諸刃の刃」。経営陣らが訴えられた株主代表訴訟では「津波は予測できなかった」との主張を続けており、支離滅裂の様相を呈している。

 一方、告訴や告発を八月に正式受理した検察当局も、捜査を本格化させつつある。

 現在、東京、福島の両地検には全国から多数の応援検事が集められ、捜査が進められている。一〇月には、東電が設置した社内事故調査委員会(東電事故調)の調査や報告書作成に関わった複数の社員からの事情聴取に着手。地震・津波対策に関する東電側の認識や、報告書の作成過程などについて説明を求めた。その事情聴取は、

「まるで容疑者を取り調べるかのような厳しいものだった」(関係者)

 という。検察当局は今後、政府関係者からも事情を聞いていく方針とみられる。

【NHKと東大が告訴団の「次なる標的」?】

 福島第一原発事故では、入院中だった病院からの避難を強いられ、避難中や避難後に死亡した一般市民が多数存在する。彼らは皆、東日本大震災が「原発震災」とならずに済めば、そもそも死ぬことはなかった人たちだ。このことだけを考えてみても、福島第一原発事故は「刑事事件」以外の何ものでもない。

 この被害者たちの遺族が、今後告訴団に加わることにでもなれば、刑事事件として立件されるのはほぼ確実な情勢だ。

報告集会では原発事故で家族を亡くした告訴人の悲痛な訴えが紹介された。(撮影/明石昇二郎)

 また、福島県内では事故後、甲状腺がんを発症した子どももすでに確認されている。立件を目指す告訴団としては、こうした人々を説得し、仲間に招き入れることができるかどうかが今後の“宿題”でもある。

 一一月一五日の告訴・告発状提出後にあった告訴団の会議では、弁護団の保田行雄弁護士から、肝心の原発事故発生直後に事故を過小評価する報道を繰り返したNHKと、同様に事故を過小評価し続けた東京大学の原発推進派学者らを「次なる標的」に据えることが提案された。彼らに公開討論を申し入れ、福島県民に無用の被曝を招いた責任を、告訴団として追及していこう――というのである。

 今後も福島原発告訴団の動きから目が離せない。

(明石昇二郎・ルポライター、11月23日号)

 今後予想される全国の原発再稼働反対の一点で団結しようと、各地の反原発団体の代表者が参加して一一月一〇日、東京都内で「再稼働阻止全国ネットワーク」の結成集会が開かれた。

 原子力規制委員会は、来年七月中にも原発の新たな安全基準を策定するとしているが、すでに北海道電力の泊原発を筆頭に各電力会社の再稼働に向けた動きが表面化。このため、各地の反原発運動団体が全国的に連携し、「福島を忘れない」を合い言葉に今後の再稼働を許さない団結を作り上げるのが「ネットワーク」の狙いだ。

 集会には、約六〇団体、約二五〇人が参加。挨拶に立った「ネットワーク」共同代表の一人で、ルポライターの鎌田慧氏は、「再稼働しないと電気が足りなくなるというウソは、今年の夏で暴露された。しかし電力会社は理屈も何もなしで、自分たちの欲のためだけに危険な再稼働を今後強行しようとしている」と批判。「こうした策動を迎え撃つのではなく、こちらから押し込む運動を実現し、すべての原発を廃炉にしよう」と訴えた。

 福島県から参加した「原発いらない福島の女たち」の佐々木慶子さんは、「県内では強制避難者は貧弱な仮設住宅に押し込まれたまま、何の展望も持てず鬱病が広まっている。子どもたちの甲状腺にも異常が多く発見されているのに、県は事故との関係を絶対に認めない」と現状を指摘。「事故現場から放射能は漏れ続け、もし地震が再び起きたら、県民は生殺しだ。それを考えたら、再稼働などとんでもない」と怒りを表明した。

 続いて各地の代表者が発言に立ち、「電力会社は県民の批判もあって再稼働を困難視し、企業も付近から逃げ始めている」(浜岡原発を考える静岡ネットワーク)といった最新の情報が報告された。

「ネットワーク」は今後、東京や全国各地で討論・学習会を開いて再稼働の動きを巡る情報交換を続けながら、来年の「3・11」を前後する、さまざまな取り組みを共同で準備していく。

(本誌編集部、11月16日号)

パレードする集会呼びかけ人たち。(写真/伊田浩之)

 大江健三郎さんや鎌田慧さんらが呼びかけた「さようなら原発集会in日比谷」が10月13日、東京・日比谷野外音楽堂で約6500人(主催者発表)が参加して開かれ、青森県大間町の小笠原厚子さんが電源開発(Jパワー)による大間原発建設再開を強く批判した。

 小笠原さんの母、故・熊谷あさ子さんは半農半漁の暮らしを続けながら、建設予定地の土地買収を拒否し続け、電源開発は炉心の位置をずらすなど異例の対応を迫られた。東日本大震災で建設は中断していたが、10月1日、北村雅良社長が建設再開を発表した。

 政府は2030年代の原発ゼロを目指すとして原発の新増設は認めない方針だが、「稼働期間40年」という原則を当てはめると、同原発は50年代以降まで運転が可能となり、矛盾する。

 小笠原さんは集会で「母が強硬ないじめや嫌がらせ、村八分に耐えられず土地を売っていたら、2010年には大間原発は稼働し、3・11を迎えていたかもしれない。事故が起きたら全国の国民が被害者になる。政府は『原発ゼロ』と言ったんじゃないんですか。政府は嘘つきです」と訴え、拍手を浴びた。 

 参加者らはこの後、日比谷公園から東京電力前、銀座、東京駅、常盤橋公園までパレードし、道行く人に原発からの脱却を訴えた。東京電力前では警官による過剰警備が目立った。

(伊田浩之・編集部、10月19日号)

9月10日、首相官邸前の野外会見でマイクを持った福島みずほ参議院議員(左)。(撮影/野中大樹)

 野田佳彦内閣は九月一一日、原発の安全規制を一元的に担う原子力規制委員会を一九日に発足させ、候補に挙がっている委員長と委員計五人を任命することを決めた。

 委員長は前内閣府原子力委員長代理の田中俊一氏、委員には日本原子力研究開発機構の更田豊志氏、日本アイソトープ協会主査の中村佳代子氏などがおり、「原子力ムラ委員会」との批判が市民、弁護士らから挙がっていた。

 このうち更田氏と中村氏は原子力規制委員会設置法七条七項三号の「原子力事業者等を外す」という規定に抵触する可能性があり、その違法性が指摘されている。

 七月二六日に内閣から人事案が提示されて以降、野党だけでなく与党からも反発の声があがった。また、閣議決定したとはいえ国会同意人事であるため、次の国会で議会の審判を浴びることになる。

 一方で、eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)拡大規制庁チームは、法に抵触しない形で規制が担える人物を政府に提示している。以下の六氏。

 吉岡斉(政府事故調査委員/九州大学副学長)、後藤政志(ストレステスト意見聴取会委員/原子炉設計)、田中三彦(国会事故調査委員/原子炉設計)、石橋克彦(同/地震学)、崎山比早子(同/放射線防護)、渡辺満久(東洋大学教授/変動地形学)。

 六人は、候補案として挙げられることを承認しているという。

 一〇日に告示された民主党代表選の共同会見では、立候補した野田佳彦首相、原口一博元総務相、鹿野道彦前農相、赤松広隆元農相のうち、規制委人事の見直しに言及したのは原口氏のみ。自民党総裁選では争点にすらない。

 国際環境NGO「FoEジャパン」の満田夏花さんは「首相による任命は国民と国会を軽視しており、許されるものではない。民主党代表選でも争点になるべきだ」と訴えている。

(野中大樹・編集部、9月14日号)