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高浜・美浜原発延長認可等取消訴訟控訴審 被害と科学の不定性に向き合った司法判断を

柴山恭子(老朽原発40年廃炉訴訟市民の会)|2025年12月17日5:48PM



 関西電力高浜原発1、2号機と美浜原発3号機の運転期間延長認可等の取り消しを求めて2016年に提訴してから9年。今年3月14日、名古屋地裁は全面的に被告・国(原子力規制委員会)の主張を書き写したような国策盲従の不当判決を出した。

10月9日、高浜・美浜原発延長認可等取消訴訟控訴審後の報告集会。(提供/老朽原発40年廃炉訴訟市民の会)

 当訴訟では、東電福島原発事故の甚大で深刻な被害の現実を示して、万が一にも事故を起こさないための原子力規制、司法判断でなければならないことを強く求めてきたが、判決は事故の概要は述べてもわずか1ページで、その被害には全く言及しなかった。

 私たちは当然ながら控訴した。控訴理由書では、大きく分けて4つの争点(①老朽化、②地震、③火山、④使用済み核燃料)の主張・立証を補強し、論点の絞り込みも行なった。原発事故の被害をしっかり裁判官に認識してもらうため、弁護団は総論班を新たに設けて総論にも力を入れた。

 一審では一つの裁判体が高浜と美浜の両事件を担当したが、控訴審は、高浜は名古屋高裁民事4部(中村さとみ裁判長)、美浜は同民事1部(新谷晋司裁判長)に分かれて係属した。

 両事件は同じ日に行なわれることになり、控訴審第1回口頭弁論は、10月9日に開かれた。両事件において控訴人側が、控訴理由書のうち総論と司法判断のあり方について口頭陳述した。

 総論は、藤川誠二弁護団事務局長が担当。東電福島原発事故から14年半。今なお、統計上だけでも約2万4000人が避難を余儀なくされている(「自主」避難者は統計が取られず含まれていないため、避難を継続している住民はずっと多い)。2万4000人は愛知県の大口町の人口とほぼ同じ。帰還困難区域は約309平方キロメートルで、名古屋市は326平方キロメートル。「14年も続く避難生活を想像できるでしょうか」「同じ広さの国土に人が住めなくなったことの意味を考えたことがあるでしょうか」と問いかけた。これまでに428人にものぼる福島県の子どもたちの甲状腺がん多発の事実など原発事故の被害は増大していることや能登半島地震の警告も示した。そして、本件原発が事故を起こすようなことがあれば、裁判官だけでなく自分たちも責任の一端を背負うことになると思っていると、訴訟にかける思いを述べた。

 司法判断のあり方は中野宏典弁護士が陳述。科学には不確かなことや曖昧なことが多くある(科学の不定性)。そのため、安全か危険か不明確な領域の規制には、本当は安全なのに危険と誤判断して規制する「慌て者の過誤」と、本当は危険なのに安全と誤判断して規制しない「うっかり者の過誤」のどちらかが必ず起こる。原発の場合は、「うっかり者の過誤」だけは避けなければならない。「疑わしきは安全のために」十分な保守性が見込まれているかどうかを司法が厳格にチェックすることを求めた。

「疑わしきは老朽原発の稼働のため」の許認可を追認した一審判決の過ちを、控訴審で必ず正す。次回期日は来年2月27日。傍聴応援を!

(『週刊金曜日』2025年10月31日号)

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