週刊金曜日 編集後記

1454号

▼12月15、22日号と続けて、自民党派閥のパーティ券を巡る裏金疑惑記事の編集を担当した。雑誌だと、原稿化から編集、校了、発売まで日数がかかるため、読者の皆さんが手に取る頃には、情報として古くなってしまうことがある。今回は閣僚交代など予想を超える早い展開となり、見通しも難しい中、ギリギリまで神経を使った。

 今回の動きを見て、リクルート事件を思い出した。リクルートコスモス社の未公開株を譲渡され、「濡れ手で粟」で大金を手にした政治家や官僚たち。疑惑が表面化した際、「秘書(妻)がやったこと」などと見苦しく言い逃れていた。

 今回も「政府の立場での記者会見だから」などと逃げる姿が目立った。雲隠れしたり、「頭悪いね」と記者に言い放ったりした議員もいた。「そりゃ、あんただろ」と突っ込みたくなる。そして首相の言葉も少しも響いてこない。35年前よりも政治家の劣化は進んでいるのだろう。(小川直樹)

▼前号「きんようアンテナ」では米メディア研究者D・ラシュコフ氏への単独取材が急遽実現。都内神宮前のボイジャー社へ赴くと、氏は手渡した本誌に目を通しつつ「Hmmmm, Left!」とニヤリ。

「ぬははははは!」とウケた私は、通訳を介したやりとりだったが、あれこれ質問。たとえば対立する相手から寄付を受けた場合、その相手を批判できるのか、との質問にも「ん。私はもらえるものは全部もらったうえで書く。All Money is Dirty Money! Therefore, All Money is Good Money! まあ、次の寄付はもうないだろうけど(笑)」。

 反原発本を続々出しながら他方で動燃の仕事を裏で請け負いつつ糊口をしのいでいたという旧知の出版社(すでに廃業)社長の話をひさびさに思い出した。やっぱり革命は楽しくやりましょうよとの姿勢に共感した次第。氏の次回作は「ポジティブな未来」がテーマとのことです。楽しみだ♪(岩本太郎)

▼高齢者ビジネスを取材して以来、20年近く年賀状をやり取りしていた方から「年賀状を控えさせていただく」とのはがきを頂戴しました。「近年のデジタル化の観点から」が理由で、今後はHPやSNSなどネット上のコミュニケーションを活用していくそうです。

 時代の趨勢とは言いながら、年賀状のやり取りが減ることに一抹の寂しさを感じます。一時期400枚を超えた年賀状も、返信のない方を中心に削除しスリム化。今は徹夜をしなくて済みますが、それでも年末は年賀状書きで数日つぶれます。一枚一枚、相手のことを思いながら手書きで言葉を添えるようにしているのですが、それが楽しみの一つでもあります。

「言葉の広場」掲載の読者の皆様にも、掲載誌とお礼の図書カードに一筆添えて送らせていただいています。1月のテーマは「2024年への思い」です。ご投稿をお待ちしております。(秋山晴康)

▼「来年からどうすればいいんでしょう?」。読者の方からの悲痛な電話が続く。2019年版から5年間、本誌折り込みチラシでご案内してきた財津昌樹さんの「『トイレで知る・考える』カレンダー」2024年版の制作がないことをお伝えすると、「毎年友人にも配っていたのに......」と絶句された。

 11月に入ると、カレンダーの問い合わせが次々と入るようになった。財津さんに連絡すると、お元気そうだったが、やはり23年版でお終いとのお返事。これまで、30回を区切りでなど、これで最後と言いながらも制作を続けてくれていたうれしいオオカミ少年状態だったが、とうとう本当に「Final」になってしまった。

 25年版のカレンダーの発行を期待しつつも、財津さんがカレンダーを通じて撒いてくれた「世界を変えていく種」を自分で育てていかなくてはとも思っている。寂しいけれど......。(志水邦江)