週刊金曜日 編集後記

1388号

▼安倍晋三元首相銃撃事件は、宗教団体と政界の不透明な関係性を白日の下に晒した。多額の献金トラブルを抱え、「反社会的」と指摘される統一教会と接点を持つ自民党議員が事件以降、相次いでいる。岸信夫防衛相は会見で「お付き合いもありましたし、選挙の際もお手伝いをいただいたりしております」と述べ、二之湯智国家公安委員長は「名前を貸してほしいというので貸した」と関係性を堂々と認めた。そして「何が問題かよくわからない」などと発言する議員まで出てくる始末だ。

 内田樹氏は、本誌7月22日号コラムで統一教会との関係性を疑われる政治家は〈免責を手に入れるために無知を装う〉と推測していたが、実際は無知を装ったあとに、悪びれもせず、開き直っているのだから、ことさらタチが悪い。

 不祥事や不正疑惑に対し、説明責任を拒み、開き直って居座ってきたのが安倍氏であった。どうやら安倍なきあとも政権の無責任体質は変わらないようだ。(尹史承)

▼「人づくり、家庭づくり、国づくり」。旧統一教会系団体の進める国民運動だ。安倍晋三元首相殺害事件に引きつけると皮肉に思える。宗教団体の活動がもとで家庭が壊れ、高等教育の機会も失われた(と考えた)容疑者が元首相を倒して社会を攪乱させたからだ。この宗教団体はどう考えているのか。

 関連団体イベントへの政治家の参加も次から次へと報じられている。ほとぼりが冷めるのを待つという腹づもり? 9月に投開票が予定されている沖縄県知事選の立候補予定者の佐喜真淳氏の参加も明らかになったが、こちらは弁明に追われてたいへんそう。

 多数の秘書を政治家事務所が受け入れたり、ということもずいぶん前から批判されてきたけれど、結局、何も変わっていないか。怖いのは、政治の中身、政策立案にまで宗教団体が口をだすこと。この機会に、膿を出し切れればいいのだが。(小林和子)

▼安倍晋三元首相の「国葬」に、キリスト教界からも抗議の声があがっている。日本キリスト教協議会は「死者の神格化にもつながる国葬を計画する権力の企てとは、自らの政治路線で国民を上から統合しようとする権力の絶対化」で、「国家主義と権威主義の亡霊による国民的思考停止状態への誘導」が懸念されるとバッサリ。私も会員の日本キリスト教婦人矯風会は「国家が一個人の死に特別な意味付けをすること」で、「内心の自由が侵される」危惧を指摘する。

 そんななか、やはり国葬が気に入らないジャーナリストの矢崎泰久さんと弁護士の山根二郎さんが、国葬を止めるべく応援団を募集するイベントを行なう。8月18日(木)19時~、東京・Space&Cafeポレポレ坐(東中野駅)。予約3000円、当日3500円(ワンドリンク付)。予約は、なまけものクラブ(080・3556・2394、rieoubli@gmail.comオダ)。すでにいろいろな人を誘っているとか。乞うご期待。(吉田亮子)

▼気がつけばアマゾンプライム会員になっていた。解約も考えたが、送料無料になるならまあいいかと。だが、プライムビデオで、映画やドラマを無料で鑑賞できることがわかり、悪くないサービスだと思った。なにより会員でよかったのは、テレビ中継のないボクシングの世界タイトルマッチを観戦できたこと。村田諒太の試合と井上尚弥の試合だ。この2試合はボクシングファンならずとも注目のカードだった。地上波だったら視聴率20%超えを見込めた。さぞかし、会員が増えたに違いない。

 このたび弊社もパソコンでさくさく読める『週刊金曜日』の会員サービスを開始した。たとえば、競走馬は芝とダートのコースを馬の適性で使い分けているが、両方走って活躍した名馬がいた。そう、芝もダートも。その名は「アグネスデジタル」。本誌もあやかりたい。紙もデジタルもよろしくお願いいたします。名づけて「デジタル金曜日」。三つのコースからお選びいただけます。(原口広矢)