週刊金曜日 編集後記

1342号

▼特集「東京五輪が遺したもの」で「東京オリンピック・パラリンピックの中止を求める抗議リレー」呼びかけ人の一人である青木正美医師にお話を聞きました。
 青木医師は、コロナ禍を人類最大の大災害の一局面ととらえます。阪神・淡路大震災のとき、1月20日に現地入り。「その日が、私の第二の誕生日だと思っています」。以来、関西学院大学災害復興制度研究所(兵庫県西宮市)の研究員として、コロナ前までは月に一度のペースで通い、災害の研究を続けてきたそうです。
「災害時のリスクを考えると、生ゴミをできるだけ出さないことです。たとえばリンゴを食べるときは輪切りにします。そうすると芯のほんの一部だけを残して全部食べることができます」
 話は犬猫の糞尿やオムツの処理にも及び、「臭いが外にもれない袋がありますから、それに入れておけば長期間置いても大丈夫です」。いざというときのために先回りで準備しておくことが大切という提言に、うなずくばかりでした。(秋山晴康)

▼「AMラジオが消える日」が近づいています。「ワイドFM(FM補完放送)対応端末普及を目指す連絡会」(幹事・TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)が6月15日、民放AMラジオ全47局のうち44局が2028年秋までにFM局となることを目指すと発表したのです。多くのAM局では、受信環境向上などを目的にFMでも同じ内容を放送していますが、設備の維持費用がかさんでいます。広い敷地と高さ100メートル規模のアンテナが送信に必要なAMを止めてFMに一本化したいと考えるのは仕方ないことなのでしょう。
 一部の局は28年以降もAMを継続しますが、在京3社は同時期までにAMを完全停波する方針です。
 広告収入も厳しい。民放連によると、1991年度に2040億円だった中短波の営業収入は昨年度は660億円に落ちました。
 厳しい経営環境のなか、ラジオ局はリスナーに寄りそい、良番組を作ることで生き残りをはかってきました。私も、ラジオの姿勢にみならい、読者に求められる雑誌作りに努めます。(伊田浩之)

▼去年から、新型コロナウイルスのために家族に会えないまま、他界された多数の方々がいる。亡くなられた本人と残された家族の無念には、非常に深いものがある。
 あえて「人災」とは言わないがコロナ禍におけるこの国の対応は、(コロナが収まった)後に歴史的に検証されることになるだろう。「あの時、何を間違えてしまったのか」「何をすべきで、何をやめるべきだったのか」「責任は誰にあるのか、曖昧なままどこに消えたのか」などなど。各地で自宅療養者数は過去最多を更新し続け、感染の急拡大で病床が逼迫するなか、受け入れ態勢の脆弱さが浮き彫りになっている。先日も新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養していた妊婦が入院先が見つからないまま、医師ら不在のまま自宅出産を余儀なくされ、新生児が死亡していたことが報道された。
 東京都内では8月21日、感染者が、初めて4日連続で5000人を超え、22日、日曜日としては過去最多を記録。それでも外の日常は、一見あまり変わらないようにも見える。静かだが"命の危機"は誰の隣にもある。(本田政昭)

▼本誌7月16日号定期購読送付分に「『週刊金曜日』定期購読者のみなさまにお伺いいたします」と題したアンケートを同封させていただきました。10月からの「郵便法改正」にともない、土曜日配達の中止と納本からお届けまでに必要な時間が一日増えることになり、従来の制作進行ではこれまで通りの日程で定期購読をお届けすることができなくなります。そのための対策を講じるにあたって、読者のみなさまに現状の配達状況や本誌を読まれるタイミング等を伺った次第です。今回1万2632通を発送したところ、4分の1以上にあたる3310件もの回答が寄せられました(8月19日現在)。用紙がお手元に届いた7月15日(木)の夕方以降、業務部にあるファクシミリの受信が途切れず、週明けまでその状態が続きました。またアンケートフォームからの回答は1515件と半数近くに上っています。このたびお寄せいただいた意見を参考に10月以降の対応を検討いたしますので、引き続きの購読をよろしくお願いします。ご協力誠にありがとうございました。(町田明穂)