週刊金曜日 編集後記

1315号

▼毎年今の時期になると楽しみなのが、デパートでやっているバレンタインチョコの特設フェア。売場はチョコを買い求める女性たちですごい熱気(最近は男性も多い)。コートなんて着ていたら汗だくになってしまいます。
 今年も行ってみました。びっくり、閑散としていました。そしてこれまでとの大きな違いは、試食がないこと。そう、チョコフェアの大きな楽しみは試食です。普段は手が出ない高級チョコや日本未上陸のチョコを、販売員さんのセールストークを聞きながら味わえるのが楽しいんです(せこい楽しみですみません)。
 今年は人がいなくて閑散として、試食もないので(ああ、本当にせこい)、早々に退散しました。試食があるとないとでは、こんなにも意欲に差が出るのかー。デパ地下も試食がなくなって久しいですね。仕方がないとは思いますが、試食販売の威力をまざまざと思い知りました。(渡辺妙子)

▼出社前にモコという名の犬と散歩をしています。歩きながら、以前取材した糖尿病内科の医師が「毎日30分以上の早歩き」の効果を述べていたことを思い出します。
 知人の循環器内科の医師は「1週間で20キロメートルを目安に歩こう」と強調していますし、医師で作家の鎌田實さんは早歩きと遅歩きを組み合わせたインターバル歩行をおすすめしています。
 いずれの医師も内容は微妙に異なりますが、歩くことを推奨しているわけです。
 今週号から新型コロナと闘うために、シリーズ「医師に聞く」をスタートしました。第1回は鎌田さんで、長引く自宅待機を懸念し「ステイホームの心得」について語ってくれています。
 ところで朝の散歩ですが、走ろうとするモコを追って速足になりがちですが、出社前の体力温存を考え自然とインターバル歩行になっているようです。(秋山晴康)

▼「麒麟がくる」が、いよいよ2月7日に最終回を迎える。当初は本木雅弘演じる斎藤道三の存在感がありすぎて主役がかすんでしまったが、終盤を迎えて長谷川博己演じる明智光秀の"まじめでいい人"っぷりが強調され、諸説あるなか、なるほどと思わせる「本能寺の変」が描かれるのだろう。
 引っかかるのは、坂東玉三郎演じる正親町天皇だ。ドラマでは実権も財力もない天皇のひと言ひと言に重みを持たせ、光秀の決断に大きな影響を与えたように見せている。本当にそうだったのか?
 1月は、親の介護がテーマで脚本が宮藤官九郎というドラマ「俺の家の話」と「モコミ 彼女ちょっとヘンだけど」が気になる。後者の主人公はモノの気持ちがわかるがゆえに変人扱いされ不登校、引きこもりだったが、あることをきっかけに自分の殻を破り......。コロナ禍の今だからこそ、人と人とのかかわりがより愛おしく思うのかもしれません。(吉田亮子)

▼最近、弊社ビル入口に体温検知システムが設置された。体表面温度で体内温度を予測する装置だ。正面に立つと測定を始める。発熱していると警告されるので、ちょっと緊張する。測定が終わった、正常だ、ひと安心。温度管理以外に顔認証機能があり、マスク未着用も警告される。マスクは今や感染予防の必需品である。スーパーコンピュータ「富岳」のシミュレーションによると、飛沫の吸い込み量と吐き出し量がマスクの素材によって違うそうだ。ウレタンは不織布に劣るため「ウレタンマスク警察」なる輩が非難しているようだが、素材ではなく正しく着用するかどうかが重要だと思う。よく見かける「鼻出し」や「あごのせ」はいかがなものか。
 お詫び。本誌1月22日号の編集長後記で「先日、来客があった。ノーマスクだったので(失礼ながら)ギョッ」とさせたのは僕の友人です。失礼しました。(原口広矢)