考える

ファシズムの危険性が高まっていると、多くの識者が語る。世界恐慌――社会不安――挙国一致政権――侵略戦争。過去の歴史が単純に繰り返すことはない。だが、類似の流れが起きる可能性はある。忘れてならないのは、ファシズムが社会を覆うとき大衆が熱情に浮かれるのは、「権力」が、「冷静に考える」行為を奪うから、という事実だ。本誌は今年一年、さまざまな問題について「何を考えるべきか」を、読者と一緒に考えていきたい。まず「いま、世界で何が起きているのか?」について深める。

■豊かになれない日本国民 ――その理由は瞭然 対談 内橋克人 佐高信恐慌寸前、深刻な経済環境の真っただ中で新しい年が明けた。「レーガノミクス」以来三〇年に及んだ新自由主義・市場原理主義の破綻は、これから私たちの暮らしと経済にどんな打撃を与えるのか。すでに一九九〇年代半ばから警告を発し続けてきた経済評論家・内橋克人さん。最新時点での「現実認識」に耳を傾ける。「新自由主義サイクルは破綻した」分断・対立・競争から連帯・参加・共生の社会へ■暮らしの困窮を考える 内政はなぜガタガタなのか 中村うさぎわたしたちの生活はなぜ苦しいのか。税務署に追い込みをかけられ、毎日のように「金の心配」をしている中村うさぎさんが、政治と税金について考える。国民救済のために金が必要だから「増税」なんて、ホント、下策もいいとこじゃないか! 国民はさぁ、もっと怒っていいんじゃない?■格差・貧困を考える 岩盤をコツコツ叩き続けるしかない 湯浅誠格差・貧困の拡大に対して「反貧困」の声が高まり、各地に運動のつながりができた二〇〇八年。しかし、景気悪化の中、企業の「首切り」・「派遣切り」が続く。〇九年の課題を探る。セーフティネット=負担という発想を転換して労働市場内部の企業規制と外部のセーフティネットの構築をセットで行なわねばならない。■巨大株式会社を考える トヨタ・ソニー・三菱をどうするか 奥村宏派遣社員の大量解雇。正社員の人員整理。大企業の容赦ない「首切り」が始まった。二〇〇九年、日本経済はどうなるのか。いま考えるべきなのは、大企業のあり方そのものだ。アメリカでは共和党がGM支援に反対しているのだが、日本ではたしてトヨタやソニー、キヤノンの支配体制に自民党が反対するなどということが考えられるか。■世界同時不況を考える 環境分野で成長を創り出せるか アンドリュー・デウィットサブプライムローンに端を発した金融危機が、実体経済にも深刻な影響を及ぼし、大恐慌が目前に迫りつつある。この状況を打開する新たな経済システムは構築できるのか―有能なリーダーシップがなければ政治がどのような方向に向かうのか、想像に難くないだろう。

  • 緊急現地ルポ トヨタショック 写真 川柳 まさ裕文  竹中 敬一朗歩く、見る、考える世界同時不況は市場の暴落とともに、派遣、非正規労働者の突然の雇い止めを引き起こした。厚生労働省によれば、このような雇い止めは全国で三万人に上るとみられ、このうちトヨタ自動車本社(豊田市)がある愛知県はその一三%に当たる約四〇〇〇人が職業難民と化し、ワースト1になっている。それは不況の象徴として「トヨタショック」と呼ばれている。“震源地”を緊急取材した。
  • our face 写真 北野 謙
  • 田母神前空幕長や防衛族議員らを呼んで大パーティー破綻したIT企業 トランスデジタルの怪 星野 陽平防衛関係者や保守系テレビ番組関係者が参加するパーティーを開き、『日経新聞』に派手に全面広告を打ったIT企業には防衛大卒の役員が顔を揃えていた。だが、一カ月後には破綻。このきな臭い倒産劇を、警察は捜査中だという。
  • 4歳の女の子が新宿で段ボールハウス暮らし深刻化する子どもの貧困 野村 昌二日本で、子どもの貧困が現実のものとなってきた。歌舞伎町では小さな女の子が父親と段ボールハウスで暮らしていた。親からつづく負の連鎖が、子どもに直結する。人生のスタートラインに立てない子どもたちに、差し伸べる手はないのか。
  • 「杉本博司 歴史の歴史」 樋口ヒロユキ現代美術界を牽引する杉本博司の、世にも奇妙な展覧会。
  • オーストラリアからの手紙 木村哲郎ティーグ豪州版「定額給付金」、子ども1人当たり約6万円「運のない人」助ける社会
  • 写真 この一枚 沖縄浦添市・旧琉球民政府付近一九七一年「一一・一〇沖縄ゼネスト」 撮影者 吉岡 攻聞き手 福田文昭

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