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“懸命に生きる姿、感じてほしい” 命の記憶 沖縄愛楽園1975

大月えり奈・ルポライター、カメラマン、社会福祉士|2025年8月7日2:29PM

約50年前、沖縄にあるハンセン病療養所を20代のカメラマンが訪れた。一人ひとりから許可を得て、
その肖像と日常の風景を撮影した。ネガフィルム72本、約2300カットに及んだ。
しかし、公表には至らなかった。長い時を経て、後世に残そうという人たちの力で世に送り出された。

「煙草を手に」(1975年1月7日、撮影/鈴木幹雄)

 半世紀前に感じた命の重さと葛藤が心を去来し、今も涙を流す。元カメラマンの鈴木幹雄さん(76歳)は、偏見と差別を正す写真を撮ろうと、1974年から76年にかけて沖縄の国立ハンセン病療養所を訪ねた。

沖縄県の国立療養所沖縄愛楽園

 国の誤った隔離政策のもと、強制的に収容された入所者たち。苛烈な差別を受け、顔や名前を隠して暮らす人に「カメラを向ける」――。

 避けられない葛藤がありながらも、思いを伝え、共に食べ、胸中を推し量りながら、懸命に生きる命の輝きを収めた。

 これらの写真は公表されることなく長年眠っていたが、あるきっかけで発見され、後世に残そうと入所者の自治会や学芸員らの思いが結集。今年5月に写真集『命の記憶―沖縄愛楽園1975』(赤々舎)が発刊された。記念写真展が主会場の沖縄愛楽園交流会館と東京で開かれている。

「差別を正す写真を」

 沖縄愛楽園は、名護市の屋我地島に38年、県立国頭愛楽園として開園。米軍民政府、琉球政府の所管を経て、72年の「本土復帰」に伴い国立療養所沖縄愛楽園となった。

 全国に13カ所ある国立ハンセン病療養所の入所者は2025年5月1日現在で639人、平均年齢は88・8歳。高齢化が進み、この1年で79人が亡くなった。

 愛楽園にはかつて950人以上が暮らしていたが、現在は76人(同)。経験を話せる人が少なくなっている。

 鈴木さんはもともと、ハンセン病については名前を聞く程度の認識だったという。23歳の時、不思議な出来事があった。仕事で知り合った初対面の相手から突然、「沖縄愛楽園という療養所がある。偏見と差別に苦しんでいる。それを正す写真を撮ってきたまえ」と言い渡された。「驚いた。強い言葉でしばらく脳裏に焼きついていた」と鈴木さんは回顧する。

 数年後、自分の進むべき道に悩み、放浪の旅に出た。その道中、また偶然ハンセン病に関する話を聞いた。あの言葉が蘇った。「反故にしちゃいけない。責任は果たそうと思った。1年間は愛楽園に通うと決めた」。

 そして25歳の冬、導かれるように東京から沖縄へ向かった。

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