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日本で育ったクルド難民申請者、彼らの夢を誰がつぶしたのか

田中喜美子 日向史有|2021年9月9日11:58AM

――解体業のような分野はいわゆる3Kの仕事として、日本の学歴社会の中では日本人でもそれに従事する人は見下される傾向にある。

日向 今の日本のそうした職業差別や、自己責任論が蔓延り、「生産性」という尺度で他者を排除する傾向は、明らかに違う他者=外国人に向けられた時、より鋭く残酷になっているのだと思います。

田中 非正規滞在者の取り締まりもどんどん強化されていますからね。

そもそもクルド人が日本にきはじめたのは1990年代前半以降。埼玉県川口市、蕨市の公園あたりで何人かがテントをはって生活をはじめ、その前からきていたイランの人たちとの交流を通じ、仕事にありつき、アパートも見つけた。トルコは日本にとって中東最大の友好国なので、トルコ出身のクルド人で難民認定された人はゼロ。このため、多くが仮放免で働いていましたが、摘発されるようなことは当時はほとんどなかった。

日向 映画のパンフレットに全国難民弁護団の渡邉彰吾弁護士が寄せてくれた文章には、友好国を重視する日本の姿勢についてこう書かれていました。「かつて、法務省研修教材の中には、同じ難民としての条件を備えた外国人でも、非友好国の国民の場合は『難民認定は比較的自由に行える』としながら、友好国の国民の場合は『やや慎重にならざるをえない』と記述されていた」。この精神が今も入管には残っていると思います。

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