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丸山市郎・前駐ミャンマー日本大使はロヒンギャへの差別煽動発言を撤回せず

木村 元彦・ノンフィクションライター|2025年5月20日7:59PM

「独自の外交をしたい」

 講演会会場で質疑の時間になったので、筆者は丸山氏にこの差別煽動発言に対する真意を質した。

 返ってきた答えは「私の発言で傷ついた方がおられたならお詫び申し上げます」。日本大使の名の下にデマを飛ばし、人道に対する罪、迫害を正当化させたことの謝罪と撤回に到底なりえていない。

 丸山氏はこの自身の発言について『東京新聞』に「国軍やNLD(国民民主連盟)政権とやりとりし、一定の非を認めさせるため」と語った。だが、国軍は非を認めるどころかクーデターを起こした。

外務省前で丸山発言に抗議する館林のロヒンギャの人々。(2020年1月、木村元彦撮影)

 アウンティンは自らも手を挙げて「なぜあのような差別発言をされたのか」と訴えた。最後は涙声になっていた。終会後、私は「あった虐殺をなかったとしたデマ発言について撤回はしないのか?」と丸山氏に詰めた。「撤回はしません」という。その理由は、「私はまだ自分独自の外交をしていきたいから」退官後もクーデターを起こした国軍へ阿り、事実を曲げたポジショントークを続けるということだ。丸山氏に民族の尊厳を冒されたアウンティンはそれでも、冷静に真摯に周囲に語りかけていた。「館林に来て私たちの生活を見てください」「バングラディッシュに一緒に行って難民キャンプを知ってください」

 1週間後に丸山氏と逢沢一郎議員の講演が岡山で行なわれたが、阿佐部伸一氏のリポートによれば、質疑応答の時間は確保されていなかったという。

 (https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b2405f89351dc146b08c86d81c503e65fe130994)


台湾2・28事件(1947年)、済州島4・3事件(48年)など、アジアの独裁国家は自国のタブーとされた虐殺事件の真実を認めることで民主化に移行した。ロヒンギャの虐殺を覆い隠すことはミャンマー民主化の流れを阻害する。だからこそ、在日ミャンマー人の間でも「丸山発言」の問題の共有はされている。

 難民認定されているミャンマー人、アウン・ミャッ・ウィンはロヒンギャではないが、「丸山氏、差別発言を撤回せず」の一報を受け、このとき、大阪から岡山まで出かけている。発言に対するやりとりの後、最後に丸山氏にこう語りかけた。「川口市に暮らす私の友人のクルド人たちはヘイトスピーチの標的にされて苦しんでいます。あなたは館林のロヒンギャに対しても同じ目に遭わせるつもりですか」

 アウンティンたち「在日ビルマロヒンギャ協会」は近く丸山氏に対して、発言の撤回を求める申し入れを行なうという。(一部敬称略)

(『週刊金曜日』2025年5月16日号)

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