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玉城デニー沖縄県知事単独インタビュー 「沖縄を二度と戦場にしないために、ミサイル配備を許すことはできません」

渡瀬夏彦・ノンフィクションライター|2024年4月25日6:23PM



政府による沖縄への「暴風」が吹き荒れている。辺野古埋め立ての強制代執行や、南西諸島への自衛隊基地建設、敵基地攻撃ミサイルの配備などだ。政府の強圧的な姿勢に対して、一貫して話し合いの重要性を説き続ける沖縄県の玉城デニー知事は今、なにを考えているのか。行動の背景を探るとともに、じっくりと話を聞いた。

たまき でにー・本名、玉城康裕。1959年10月13日、沖縄県生まれ、81年、上智社会福祉専門学校を卒業。タレント活動や沖縄市議会議員を経て、2005年、衆議院議員選挙に沖縄3区から民主党公認で立候補し落選。09年の衆議院議員選挙で初当選。12年から17年まで4期連続で当選した。18年9月、翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選挙に出馬し初当選。22年知事選で再選。(撮影/渡瀬夏彦)


 政府が辺野古の公有水面埋め立てに関する沖縄県知事の権限を奪い取り、防衛省沖縄防衛局の設計変更申請を国土交通大臣が承認する「代執行」に及んだのが、昨年12月28日。改良が極めて困難な軟弱地盤の広がる大浦湾側の海上作業ヤード工事に着手したのが1月10日だった。

東京でのシンポジウム

 それからちょうど1カ月が経った2月10日、玉城デニー県知事は、東京・飯田橋にいた。

「日米地位協定」をテーマにした沖縄県主催シンポジウムの報告者兼パネリストとして出席するためだった。

 シンポジウムの前に、玉城知事が筆者の問いかけに答えるかたちで語ったシンポジウムの「狙い」は次の通りであった。

──コロナ禍の厳しい状況を脱してからというもの、県内外でのトークキャラバンや講演、シンポジウムやワークショップなど、デニー知事ならではのコミュニケーション能力を活かした情報発信が、ようやく目立つようになりました。国による「代執行」を経て、大浦湾側の工事が始まってしまった今、沖縄に押し付けられ続けている理不尽な状況を、全国のひとりでも多くの人に知ってもらうことが必要な、大事な時期ですね。最高裁で沖縄県が敗訴したからこの話は終わり、では決してないわけですし、いつ終わるかもわからない大浦湾側の工事に着手したことが、普天間の一日も早い危険除去のための「唯一の解決策」であるわけがないですしね。

「はい。今回の日米地位協定に関するシンポジウムでお話しすることも、もちろんそういうことを考えることに通じます。いきなり普天間や辺野古の話だけしても、それは国が決めたことだから仕方がないんじゃないの、と思われる方がいたり、多くの国民がなかなか関心を持てないのであれば、では、(沖縄県民ではない)皆さま方とも共通の問題として、日米地位協定について、一緒に考えてみましょう、という話をしないといけない。そうとらえているわけです」

──亡くなった翁長雄志知事もそうでしたが、全国の人びとの無関心と向き合わねばならない沖縄県知事という立場の苦しさは大変なものがありますね。

「本当は沖縄県だけでなく、国民全体が日米地位協定や安保三文書閣議決定などによって不条理な状況に置かれているわけですが、不条理さが日常的な場面にも集中的に表れているのが、過重な基地負担を強いられている沖縄なのです。なぜそうなるかと言えば、他国に比べて日本政府はあまりにもアメリカに従属的で、言うべきことを相手に言わず、その結果国民に犠牲を強いているのです。そうして起きている米軍基地あるがゆえの現実の問題(事件事故の危険・騒音・水の汚染・環境破壊等々)が、われわれ沖縄県民の受忍限度を超えている、と言わざるを得ないわけです。そのことを、全国の皆さんに一緒に考えてほしい、自分ごととして考えてほしい。そのようにきちんと表明していかないといけないと思います」

2月10日、「日米地位協定」をテーマにした沖縄県主催シンポジウム(東京・飯田橋)に出席した玉城デニー県知事。(撮影/渡瀬夏彦)

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