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連載 ”日の丸ヤミ金”奨学金 第14回
唐突に結審、「指令書」公開訴訟

三宅勝久・ジャーナリスト|2023年5月29日4:47PM

若者から収奪する「日本学生支援機構」

支払能力を無視した一括請求の〝指令書〟と思しき文書の黒塗り撤回を求めて筆者が起こした裁判は2回目で唐突に結審。支援機構が打ち出してきた主張を検証する。

日本学生支援機構市谷事務所(撮影/三宅勝久)

 独立行政法人日本学生支援機構(以下、支援機構)を相手に、支払能力を無視した施行令違反の一括繰り上げ請求をはじめ、違法性が疑われる「債権回収〝秘密〟計画」が記載されていると思しき内部文書「法的処理実施計画」の黒塗り撤回を求めて筆者が起こした行政訴訟(9月9日号掲載の連載第12回参照)の第2回口頭弁論が、10月28日午前、東京地裁703号法廷であった。

 被告席には宗野恵治、栗山雅史両弁護士の姿があった。法廷で会うのは初めてなので名刺交換を求めたところ、宗野弁護士は「切らしている」と名刺を探そうともしなかった。支援機構の秘密体質を印象づける一幕だった。

 この日の法廷に、筆者は次のように考えて臨んだ。

 黒塗りにする合理的な理由は存在しないとの原告(筆者)の主張に、被告の支援機構は説得力のある反論をいまだ行なっていない。被告の反論や釈明を待ってから再反論を行なうことにしよう。被告の言い分は崩れるに違いない。

 結論から言えば、この見通しは外れた。市原義孝裁判長は当事者の意見を聞かず、唐突に結審を告げた。机上に向けた顔をほとんど上げることなくモゴモゴと事務的にしゃべると法壇の奥に消えた。

 事件の内容に関する質問や釈明権の行使(不開示にした事情について行政や法人側に説明を求める訴訟指揮)はついに一度もなかった。ろくに書面を読んでいない可能性すら窺わせる雑な訴訟指揮だ。

“棄却するつもりだろう”

 原告席の筆者はそう直感し、理由を考えた。仕事が多くて手抜きをしたのか、単なる能力不足か、または代理人弁護士を使わない本人訴訟だから差別したのか、それとも支援機構に不利な訴訟指揮をすれば自分の将来に悪影響があるとでも思っているのか。

 判決を見るまでは敗訴と決まったわけではないが、この国の司法の退廃を嘆かざるを得ない。12月9日午後1時25分、同地裁703号法廷で判決言い渡し予定である。

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