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気候変動はジェンダー問題にも影響
国際NGOがユース世代の意識調査

神原里佳・ライター|2023年4月11日7:00AM

プラン・ユースグループのメンバー。(提供/プラン・インターナショナル)

 あらゆる領域・政策分野にジェンダー視点を取り入れる「ジェンダー主流化」は国際的な潮流となっており、気候変動対策の分野においても近年、大きなテーマとなっている。環境問題とジェンダー課題はつながっており、気候変動により多発する災害や生活環境の悪化が少女や女性に大きな影響を及ぼすことがわかっている。

 国際NGO「プラン・インターナショナル」がアフリカのザンビアやジンバブエで行なった調査によると、洪水や干ばつの増加による食料危機で生活が不安定になり、中途退学や早すぎる結婚を余儀なくされている少女が増加した。日本においても、災害時に避難現場でトイレや生理、プライバシーの問題に直面したり、性暴力を受けたりする事例があり、改善が求められている。

 こうした課題について、プラン・インターナショナルの若者(ユース)組織「プラン・ユースグループ(以下、プラン)」が意識調査を実施し、3月28日、オンラインで報告イベントを開催した。

 調査対象は日本に住む15~24歳の男女各500人の計1000人。報告によると、ユースの間では気温の上昇や海の温暖化、食糧不足などについては約30~60%の人が認知しているが、「女の子の教育の機会が減ること」「早すぎる結婚など、女性への暴力が増えること」については10%以下だった。特に男性の認知度は4%以下で、女性との差が顕著だ。

 また、気候変動の影響に関連するジェンダー不平等の具体例については、暴力の増加や生理の課題などについて4分の1は認識しているが、最も多かった回答は「わからない」で3分の1を占め、ユース世代の理解が進んでいない現状が浮き彫りになった。

「気候変動についてどこで学んだか」については、半数以上が中学・高校で学んだと答えており、理科・科学で学んだ割合が約60%、地理が約48%と、STEM(理系)教育の重要性を感じさせる結果となった。

 調査結果を受け、プランでは学校・大学や政府、自治体に対し、「気候変動及びジェンダーに関する質の高い学習の機会を提供すること」「国会や意思決定のプロセスに若者が参画できる制度をつくること」などの提言を行なった。

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