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在留資格のない高校生に奨学金を!

大和田太郎・ライター|2022年12月27日7:00AM

 在留資格のない状態(仮放免)で暮らしている高校生に支援の手を差し伸べ、奨学金を支給する「仮放免高校生奨学金プロジェクト」が、11月から始まり、2023年1月上旬まで支給対象の高校生を募集している。親が働くことを禁じられ、極度の貧困状態にある高校生に月1万円を支給し、「私たちはあなたを見捨てない」というメッセージを伝えることを目的とした取り組みだ。

12月12日の記者会見でプロジェクトの趣旨を説明する高谷幸さん(中央)。(撮影/大和田太郎)

 連携してプロジェクトに取り組んでいるのは、一般社団法人「反貧困ネットワーク」(宇都宮健児代表理事)とNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(鳥井一平代表理事、移住連)。12月12日には東京都内で記者会見を開き、移住連の高谷幸さん(東京大学准教授)がプロジェクトの趣旨を説明した。

 高谷さんによると、入国管理局施設での収容を一時的に解かれた仮放免状態の未成年の子どもは日本に約300人おり、このうち約50人が高校生と推定されるという。義務教育期間中は給食や体操着などの就学援助を受けられるが、高校からは在留資格がないことを理由に、あらゆる公的支援から排除され、就学支援金の対象にもならない。そのため進学をあきらめたり、中退を余儀なくされたりする子どももたくさんいる。

 制度からの排除という問題と同時に、高校生たちは「この社会にいてはいけない」「勉強してもムダだ」と日々言われているような状況にある。それが子どもたちの将来の可能性を奪っているし、生きる力を奪っている。

「彼らは社会の不公正を象徴する存在だと思う。こうした存在がいることに対して、何か市民社会ができることがあるのではないか、ということで、プロジェクトを立ち上げた。奨学金を出すことで、私たちは見捨てない、というメッセージを伝えることも目的だ」と高谷さんは言う。

 プロジェクトの大きな特徴として、大学生・大学院生が「チューター」として伴走し、学校や勉強、将来の問題など奨学生の日常的な相談にのる、という点がある。チューターは2カ月に1回程度、担当の高校生に会って、家族の状況を含めて、生活状況を把握することにしている。

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