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『教育と愛国』にJCJ大賞 受賞スピーチで述べた言葉とは

新崎盛吾・新聞労連元委員長|2022年10月10日7:00AM

大阪の教育現場の変化

 受賞スピーチで斉加さんは「日本では今、教育と学問が大きな危機を迎えている。公教育が戦前の状態に近づいているのではないのかと感じた。映画は教育現場から見えた小さな変化を数珠つなぎにして完成させた」と切り出した後、自らが目撃してきた大阪の教育現場の変化を語り始めた。

 斉加さんが取材で学校に通うようになったのは1990年代前半。教室に入れない子どもたちを受け入れた保健室登校を取り上げた。成績で評価されない保健室の中で、教師と生徒が熱く深く関わる様子を目にして「生き生きと成長していく姿に感銘を受けた。教育取材の原点だった」と振り返る。

 変化は、2010年の「大阪維新の会」の結成によってもたらされた。改革の名の下に教育関係条例が次々と可決され、教師をルールで縛る流れが作られていったという。12年には「政治の力で教育現場を変える」と主張していた第2次安倍政権が誕生。「その後の10年間で日本社会の壊れ方は深刻だ。その壊れた社会の一員が銃弾を放ち、安倍さん本人も命を落とした」と指摘した。

 日本学術会議の新会員任命拒否にも触れ「学術が歪められれば教科書も変質していく。戦後、自由を取り戻すために国定教科書が廃止されたのに、昨年は検定済みの教科書が閣議決定で書き換えられる事態も起きた」とした。

 映画を見た現役の先生からは「自分の苦しみが描かれている」との切実な声が寄せられた。教育現場の息苦しさや、そこに直面している先生の姿を伝えねばならないという気持ちが、制作の原動力になったという。「この栄誉を世界中の子どもたちと現場の先生方にささげたい」という言葉で、15分のスピーチは締めくくられた。

 他の受賞作品は以下の通り。

◆JCJ賞
・「土の声を『国策民営』リニアの現場から」(信濃毎日新聞社)
・風間直樹/井艸恵美/辻麻梨子『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(東洋経済新報社)
・『消えた「四島返還」 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う』(北海道新聞社)
・「ネアンデルタール人は核の夢を見るか~〝核のごみ〟と科学と民主主義」(北海道放送)

◆JCJ特別賞
・沖縄タイムス社と琉球新報社「沖縄復帰50年をめぐる2紙の一連の活動努力と報道成果」

※「第65回JCJ賞」選考委員は伊藤洋子、斎藤貴男、酒井憲太郎、鈴木耕、永田浩三、藤森研の各氏。

(『週刊金曜日』2022年10月7日号)

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