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新型コロナ、重傷除き自宅療養原則化は「治療放棄」との批判

吉田啓志|2021年8月24日7:41PM

【「もはや災害時に近い」】

政府が慌てて入院政策の転換に踏み切ったのは、東京を中心にインド由来の感染力の強い「デルタ株」がまん延し、都内の感染者や入院患者が爆発的に増えているためだ。16日時点の都内の入院者数は3881人。病床使用率は約65%と最も深刻な「ステージ4」の水準50%をとうに超えている。都幹部は「実態は見かけの数字より相当逼迫している」と危機感を露わにする。中でも7月初めまで40~50人台で推移していた重症患者は過去最多の268人に達した。厚労省の専門家組織「アドバイザリーボード」は首都圏の医療提供体制について「もはや災害時に近い」との見解を示している。

春の「第4波」の際、大阪では中等症患者が病床を埋め、入院できない多くの人が死亡した。この再来を恐れる厚労省と都は水面下で調整に乗り出し、神奈川県の「入院優先度判断スコア」も参考に基準を詰めていた。そこへ感染拡大に焦る菅義偉首相ら官邸側が発表をせかしたことで、与党や政府対策分科会の尾身茂会長にさえ事前に相談しない「生煮えのままの公表」となり、混乱を招いた。修正後も「自宅療養が基本」は変わらない。首相は5日、「必要な病床確保を進め、症状が悪くなったらすぐに入院できる体制を作る」と述べ、方針自体の撤回は否定した。

それでも、都内の自宅療養者は増え続けている。16日時点で2万2166人と7月1日の20倍超に膨れた。自宅での死者も相次ぐ。政府は自宅での健康観察を可能にするため、オンライン診療や血中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターの配布を進め、緊急の訪問看護への診療報酬を引き上げた。だが果たして体制が手薄な保健所に対応できるのか、家庭内感染が広がらないのか、懸案は山のようにある。都内の内科医は「軽い中等症の人も急変する。医師の判断を仰ぐ前に自宅で亡くなる方が出る」と警鐘を鳴らしている。

(吉田啓志・『毎日新聞』記者、2021年8月20日号)

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