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北陸新幹線延伸のための地下トンネル工事で京都住民の不安高まる

土岐直彦|2021年3月16日3:26PM

2月14日、京都市左京区で開かれた北陸新幹線延伸問題の学習会。(撮影/土岐直彦)

東京から北陸経由で大阪に至る北陸新幹線の敦賀―新大阪間延伸計画をめぐり、沿線の環境影響評価にかかる本調査が昨年12月から始まっている。京都府内のルートは大部分が地下長大トンネルで、巨大工事による膨大な掘削残土処理や地下水への影響に対し、住民らの不安が高まっている。京都市内では今年1月下旬、計画に反対する市民団体が発足し、本調査の一旦停止を事業者に求めるよう府知事に申し入れた。

北陸新幹線は全国新幹線鉄道整備法(1970年公布)に基づき国が73年に整備計画を決定した、いわゆる「整備新幹線」の一つ。現在は東京―金沢間が開業し、引き続き敦賀(福井県)までの区間の工事が進められている。敦賀以西については(1)小浜(福井県)・京都ルート(2)米原ルート(3)舞鶴ルートの3案が検討され、政府与党は2016年12月、敦賀―小浜―京都駅―新大阪駅の(1)案を採用した。事業者は独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構だ。

国土交通省は敦賀―新大阪間について31年に着工、46年の開業をめざしていたが、与党は大幅な前倒しを求めている。ルートは延長約140キロのうち8割がトンネル。京都府内には福井県側から山岳トンネルで入り、南丹市美山町―京都市右京区京北町を経由。郊外から市内に入ると西寄りの山岳部地下を通り、市街地では「大深度地下」(地下40メートル以深は用地買収が必要ない制度がある)を利用する計画だ。

鉄道・運輸機構は現在、着工の前提となる環境影響評価の手続き中。1年余りの予定で、現地調査や文献調査を各所で進めている。

府内三つの住民団体は延伸計画進展に危機感を募らせる。8割に及ぶトンネル延長と内径に基づく控えめな試算でも、工事残土は約880万立方メートル、10トンダンプで160万台分(片道)ほどに上る。京都府環境影響評価専門委員会(20年3月)でも、専門委員からは「今回の事業は世界的に見ても1、2を争う非常に長いトンネルであることから、掘削発生土は膨大な量になる」と、他の公共事業に利用できるレベルではないと懸念する意見が出た。

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