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〈参院選公示前緊急対談〉
消費税減税を野党は打ち出せ

雨宮処凛 中島岳志|2019年7月3日6:02PM

消費税増税は筋違い!

雨宮処凛(あまみやかりん)作家・活動家、本誌編集委員。1975年、北海道生まれ。愛国パンクバンドボーカルなどを経て、2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。格差・貧困問題、脱原発運動などに取り組む。著書に、『生きさせろ!難民化する若者たち』(2007年、太田出版)、『排除の空気に唾を吐け』(09年、講談社現代新書)など。

中島 ここで、消費税の位置づけそのものを捉え直す必要があると思います。
初めて消費税を導入したのは1950年代のフランスでしたが、この時代のヨーロッパならびに先進国は右肩上がりの時代です。中間層が増え、中間層から幅広く税金を取ることは有効でした。しかもヨーロッパ諸国は徹底した軽減税率も導入したので、たとえば食料品には消費税がほとんどかかりません。だから20%まで税率を上げることができました。
しかし、今の時代、先進国の右肩上がりは完全に終わって、格差社会になり、中間層がどんどんやせ細っています。消費税は、こういう状況下では深刻な景気悪化・消費低迷を招くので、上げることが難しい。税率を上げると、預貯金のない人たちに、ダイレクトに打撃を与えるので、格差社会には向いていません。基本的に、税金は経済的な体力があるところから取るのが原則のはずです。
こうして考えると、日本の消費税はとてもチグハグなことになっています。導入は89年、バブルの終わる2年前でした。この時期はかろうじて消費税を導入しても大丈夫だったと私は考えます。しかし、その後2回の5%(橋本内閣、97年)と8%(安倍内閣、2014年)への引き上げは、デフレ期に行ないました。中間層が苦しんでいるのに税率を上げるのは、どう考えても合わない政策です。つまり、消費税が悪いという話をしているのではなく、消費税が状況に合わないという話なのです。

雨宮 結局、法人税軽減などの穴埋めになっているだけですよね。法人税を減らして消費税を上げる、というのは筋が通りません。

中島 山本太郎さんが消費税減税を主張すると、極端な主張に聞こえてしまい、実現不可能な話を煽動していると受け取る人もいるようですが、私には、彼の言っていることは至極真っ当で、十分に説得力があります。そういう政策を現実的に考えていかなければいけません。野党はかつて「消費税10%」と主張してきたことに囚われていたら、自民党に勝てません。

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