週刊金曜日 編集後記

1475号

▼5月27日、本社経営陣の考えを質す組合の団交を中座し、立憲民主党本部で開かれた蓮舫・参院議員の都知事選立候補会見に急いだ。双方への参加は、ともに私の生き方にかかわる大切なことだ。

 立民から共産党までの強い野党共闘がないと、首都決戦で現職の小池百合子氏との互角の戦いはできないのでは?が私の懸念だ。立民の泉健太代表が30年以上も前の非自民・"非共産"の細川連立政権の再現を語るなど、取り巻きも含めて共産や市民との共闘への評価が後ろ向きに見える中、蓮舫氏には覚悟を尋ねておかねば......。

 渋滞もあり15分近く遅刻。幸い、知己の記者らの協力で最前列へ。ただ、私が表紙写真の撮影に集中している間も、大手紙記者らの質問は小池氏の経歴詐称疑惑をどう見るかばかり。違うだろ。それが対立候補に質すことか。我らジャーナリズムが調査報道すべきファクトだろ。共産党との野党共闘の質問は出たのかと隣の記者に確認すると「まだ全く」。我が怒りが炸裂。「ハイ、ハイ、ハイ」のアピールに蓮舫氏の細い指が私を指名してくれた。(本田雅和)

▼大地震から5カ月になる石川・能登半島を取材で初めて訪れた。現地に入って真っ先に、案内を頼んだボランティアの男性から「今までの被災地と比べて、報道が足りない。だから民間の支援も少ない」と叱られ、返す言葉がなかった。

 輪島市で、自宅や作業場が被災した海女さんの話を聞いた。海女のウエットスーツを縫うミシンも壊れた。海底が隆起して港は荷揚げができず、漁に出られない。だが、負けてはいない。近々、海女さんらはクラウドファンディングを通じて資金を集めて、止まったスーツ作りの再開を目指す。海女さんは海に戻るという。

 珠洲市でも伝統的な焼き物、珠洲焼を焼く火入れが5月24日に始まった。同市が被災した地元の共同窯を復旧させ、約200点の作品を入れた窯から煙が上がりだした。動き出した窯の横で男性陶芸家は「復活ののろし」と表現した。

「高齢化率が高い。過疎だ」。今はそういうことより、街並みや産業の復活、日常を取り戻すために動き出している人々の声や願いをより多くの人々に届けることが、メディアの役割だと思う。取材を続けていきたい。(吉永磨美)

▼俳人、高浜虚子(1874〔明治7〕年2月22日~1959〔昭和34〕年4月8日)が生まれて今年で150年を迎えました。虚子は、俳句革新運動を始めた正岡子規(1867~1902年)の後を継ぎ、「客観写生」「花鳥諷詠」を唱えました。影響は大きく、師系をたどれば、いまの俳人のほとんどは虚子に行き着きます。

 20万句を超える虚子の句は平明で余情にあふれています。〈遠山に日の当りたる枯野かな〉〈木曾川の今こそ光れ渡り鳥〉〈手毬唄かなしきことをうつくしく〉〈去年今年貫く棒の如きもの〉

 夏井いつきさんが出演するテレビ番組「プレバト!!」(TBS系列)人気もあって俳句への関心が高まっています。本誌の俳句欄にも毎月のように新しい人が投稿され、入選されています。

 虚子は俳句を極楽の文学とし、〈心を花鳥風月に寄する事によってその生活苦を忘れ病苦を忘れ、たとい一瞬時といえども極楽の境に心を置く事が出来る〉と書きました。虚子について特集を組もうかどうか考えています。読みたい、読みたくないなどのご希望があればお寄せください。(伊田浩之)

▼以前、本誌「死を忘るるなかれ」に登場していただいたあがた森魚さんが、東京都北区・王子の飛鳥山公園で、「コロナ現象への問いかけ」として始めた、参加者が自由に楽器を持って練り歩く、月一のイベント「タルホピクニック」が、この6月で4周年を迎える。

 このイベントの節目として、6月16日(日)14時30分、飛鳥山公園野外ステージ「飛鳥舞台」にてあがた森魚・フリーコンサート「ラストタルホピクニック」(観覧無料)が開催される。なお、ライブの前の13時30分から、通常の「タルホピクニック」も開催する。

 それから、以前、本誌に写真企画を掲載した写真家・稲宮康人さんと新田樹さん(他2名)らのグループ展「スティル・エコー:境界の風景」が東京・上野の東京都美術館・ギャラリーAで開催される(無料)。会期:6月10日(月)~6月30日(日)9時30分~17時30分。6月17日(月)休室。

 6月23日(日)14時から関連イベントとして、出展者によるギャラリートークが行なわれる。参加費:無料。事前申込不要。興味のある方はどうぞ。(本田政昭)