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「非常事態のシミュレーションしていない」 
防衛省が自衛隊配備問題めぐり仰天発言

2020年4月9日5:10PM

宮古島の宮古島駐屯地に搬入されていたミサイル搭載車両や軍事車両。(提供/宮古島市民)

自衛隊配備が進められている南西諸島では、弾薬庫設置に関して、爆発などの事故や、攻撃を受けるなどの非常事態の想定がなされているのか、という点が大きな懸念のひとつに提起されてきていた。これに対し、シミュレーションしていないことを防衛省が認めた。無責任ぶりが露呈する一方、宮古島、石垣島では苦境が続いている。

「(事故や攻撃を想定した)シミュレーションはやっていません」

3月11日、野党国会議員から成る超党派の「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」(会長・立憲民主党の近藤昭一衆院議員)が行なった省庁ヒアリングで、防衛省が驚くべき発言をした。同日のテーマは、宮古島で建設される弾薬庫だった。シミュレーションをしていない理由は、火薬類取締法などの関連法に「規定がない」ことだという。

それでは、非常事態への対策は何もないのか。「保安距離(付近の建物などに影響を及ぼさないよう確保する一定の距離)を確保することが対策」と防衛省は繰り返し、参加議員からは「答えになっていない」などの声が上がった。防衛省の無責任ぶりは、その後の答弁でも続いた。一部、抜粋する。

初鹿明博衆院議員(立憲民主党)「保安距離をとっていれば、どんな事態でも近隣住民は安全であると考えているのですか?」

防衛省職員「建設にあたりすべての事案で保安距離を確保するという対策をしております」

石橋通宏参院議員(立憲民主党)「どうやって住民の命を守るのか。これは宮古島だけでなく、各地の弾薬庫の問題にもなる。(弾薬庫が)攻撃対象になるのは当然の想定なので聞いています」

防衛省職員 「……施設建設するにあたり保安距離が……」

初鹿議員「建設のことはきいていない。完成後の攻撃についての対策を尋ねています」

防衛省職員「建設後の対策としては保安距離を確保するというご説明をしています」

屋良朝博衆議院議員(国民民主党)「沖縄の米軍嘉手納基地は外から弾薬庫は見えません。かなりの距離を取っている。さらに覆土式にするなど、攻撃を想定して作っていると思われるが、皆さんは非常事態は想定してないという。そんな防衛施設は危なっかしくて住宅地のそばに作るのはまずい」

防衛省職員 (沈黙)

しかし、防衛省が繰り返すこの「保安距離」についても、チェック機能に透明性がない。「貯蔵爆薬量」などによって保安距離は変わるのだが、保安検査は幕僚長等によって毎年1回実施され、結果が防衛大臣に報告されるのみで、その情報は公開されていない。ブラックボックスだ。

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