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〈皇室問題の核心〉田中優子

田中優子・『週刊金曜日』編集委員|2026年8月20日3:58PM

田中優子・『週刊金曜日』編集委員。

 皇室典範改正案では、いったい何を議論すべきなのだろう?「皇族数を確保する方策だけを決めるはずだった」のに、「皇位継承のあり方」にまで踏み込み、「将来の女性・女系天皇への道を事実上封じようとする内容」となったことが問題になっている。

 それは確かに問題だ。自民党の中曽根弘文氏が愛子さんの皇位継承は「あり得ない」と発言したことも、「男」にしか権威を認めないという意味で大いなる問題だ。しかしこの発言がはらんでいる問題の核心は何か。「天皇になったら結婚する人もいない」し、男子出産プレッシャーがのしかかるというこの事実は、愛子さんだけの問題ではないことに、誰でも気づくはずだ。それは雅子皇后が経験してきた苦しみであり、これから皇位を継ぐ男性と結婚する女性たち全員の、未来永劫続く苦しみである。それこそが問題の核心なのだ。

 美智子上皇后の時代から女性たちがどういう目に遭うか見てきた私たちは、孫やひ孫たちに皇位継承者との結婚を薦めるだろうか。高等教育を受けられるようになり多くの職種が開かれた女性たちが、わざわざ皇位継承者と結婚するだろうか。外交官になって世界で活躍できたかもしれない雅子皇后が心を病んでいく過程を見た私は、それこそが疑問なのである。中曽根氏は気づいていないのかもしれないが、「天皇になったら結婚する人もいない」のは、今や男性も同様なのだ。

 むしろ愛子さんには、1日も早く皇室を去っていただきたい。その後は彼女が職業選択の自由を得られるよう、国民が守るべきだろう。

 皇族は神様ではなく生身の人間である。天賦の人権を持った日本人である。皇室に生まれたばかりに将来の地位を決められ、その配偶者は男子の後継ぎを作ることを強いられ、できなければ国民の非難に晒される。しかも「あなたに人権はない」とさえ言われる。そういう苦しみを生み出す仕組みが、この国の中心に存在する。憲法にてらした時、そのことの重大さは見過ごせないのではないだろうか。

 そこから考えると、議論の核心は「天皇制はこのままで良いのか」にあるのではないだろうか。江戸時代に日本に来た外国人は、天皇を教皇のようなものと理解していた。しかし教皇は自ら望んだ生き方において、全世界の聖職者から選ばれる。辞退もできる。結婚も子作りもしない。私たちは天皇制のありかたから、議論すべきではないか。

(『週刊金曜日』2026年7月17日号)

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