各地で国際女性デーアクション 日本版「女性の休日」全国一斉アクション
宮本有紀、小川たまか、神原里佳|2026年7月29日5:00PM
世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数で16年連続世界1位のアイスランド。世界で最も男女平等が進んでいると言われる同国だが、昔からそうだったわけではない。変革のきっかけが1975年に行なわれた「女性の休日」と呼ばれる行動だ。同国の女性の9割が家事と仕事をストライキし、女性がいなければ社会がまわらないと証明して差別待遇や家事負担偏りの是正を訴えた。
この事例に倣い、3月8日の国際女性デーイベントとして日本版「女性の休日」全国一斉アクションが呼びかけられた。6日~8日に全国各地で200以上のアクションが企画されたという。
東京「権利と尊厳の回復を」「声を上げ社会を変えよう」
3月6日、新宿駅東南口広場では夕方から「ジェンダー平等を今すぐに」「性暴力にNO!」「手ばなさない自由と平和 日本国憲法」「選択的夫婦別姓の実現を!」などのパネルや横断幕を持った人々がスタンディング。18時からは19人のリレートークなど街頭アクションが行なわれた。実行委員会によれば、現地で約1000人が、オンラインで約300人が参加したという。

ジェンダーギャップ指数148カ国中118位の日本。スピーチでとりあげられた課題は、非正規労働や低年金、賃金・教育格差、性暴力と性搾取、職場や学校でのハラスメント、選択的夫婦別姓制度の未実施、根強く残る家父長制の意識……と多岐にわたった。
大学生など若い世代からの発言も多く、慶應義塾大学の崎浜空音さんは沖縄出身女性として、絶えない米兵の性暴力と不起訴になる現実を指摘。「米兵の権利が日米地位協定で守られており、沖縄では女性の権利が二重にも三重にも侵害され続けている」として「これ以上性暴力を増やしたくない。沖縄のことも女性の権利として一緒に行動を」と求めた。
東京大学の金澤伶さんは、保護者の子どもへの期待値も、男子のほうに高学歴や高年収を求める現実があるとして「女性だからという周囲の圧力で、受験校のレベルを何段階も下げている同級生が何人もいた。東京大学には女性2割の壁が存在する。地方からの学生を受け入れる県人寮は67%が男子専用だ」と格差を指摘。「権利と尊厳を回復させよう」と訴えた。
地方出身・在住の生きづらさの解決を目指す「地方女子プロジェクト」の山本蓮さんは「帰省の度に結婚は? 子どもは? と言われるプレッシャー。お盆やお正月、地域のお祭りなどで料理の準備は女性だけが担う。こうした雰囲気や構造が女性に地域から出ていきたいと感じさせる要因。女性の流出を止めたいならジェンダーギャップ、ジェンダーバイアスを解消すべきことは明白」と発言した。
「なでしこリーグ」で活躍していた元サッカー選手の下山田志帆さんは、「30年前、サッカーは男のスポーツだった」ために嫌がらせを受け、サッカーをする理由も求められたという。2020年、女子のプロサッカーリーグWEリーグが誕生。「キャリアの選択肢ができ、なぜサッカーするのか説明しなくていい女の子が増えた」とし、「私が願うのは、女性だからといってスポーツとか仕事とか生き方を選択するときに誰かを納得させる理由を必要としない社会。一緒に声を上げて社会を変えていきましょう」と呼びかけると、共感の声や大きな拍手が送られた。
宮本有紀・編集部
兵庫「同性婚はよ!」「女性が元気な社会がいい」
神戸市の三宮でも3月6日にスタンディングとスピーチが行なわれ、作家のアルテイシアさんや、2月の総選挙で落選した前議員の大椿ゆうこさん、尾辻かな子さん、堀川あきこさんらがリレースピーチした。

スタンディングには「今日は家事も仕事も休みます」や「女性が元気な社会がいい」などのプラカードを持った人が集まり、「選択的夫婦別姓」「同性婚はよ!」などの思いを書いた付箋も飾られた。その中の「男女の賃金格差をなくしてほしい」という願いについて触れたのは大椿さん。
自身も、西宮にある関西学院大学で雇い止めにあい、その経験から「非正規雇用という働き方をなくす」ことを胸に政治の道に進んだ経験を持つ。「女性の半数以上が非正規労働と言われています。家事・育児・介護、多くの場合、女性が担うことになります。その結果として、仕方なく非正規雇用、パートやアルバイトにつく。その結果がこの賃金格差」「私は皆さんと一緒に声を上げたい。不安定な非正規雇用という働き方をやめよう」と訴えた。
大学院で学ぶベトナムからの留学生グエン・チャン・ディエウ・ヒュエンさんは日本に来た当初、「日本人女性とは結婚できないから東南アジアの嫁さんがほしい」などと男性から言われた経験を語った。「ホストファミリーに相談して、やっと(おかしいと)気づきました。個人としてではなく、東南アジアの女性として見ていたのですね。もし私が日本出身、または欧米の女性だったら同じことを言われるのでしょうか」「ジェンダーの差別に国籍の偏見が重なっている」と、今も残るアジアへの差別感情を指摘した。
スタンディングの途中で雨が降り出したものの約100人が参加し、スピーチに耳を傾けた。
小川たまか・ライター
福岡「男性も女性も、ともに自分らしく生きよう」
3月8日、福岡市では三つのグループ合同の統一行動があった。これまで福岡都市圏では、複数の団体がそれぞれ国際女性デーのイベントやパレードを行なってきたが、今年は女性協同法律事務所の原田直子弁護士の呼びかけで、初の統一行動が実現した。

パレードでは、国際女性デーのシンボルの花、ミモザにあわせた黄色のファッションに身を包んだ人、冠やコサージュを付けた人、髪を黄色に染めた人など、総勢約500人(主催者発表)が「日本のジェンダー、まじヤバイ」「今すぐ変えよう」などのシュプレヒコールを上げながら歩き、天神一帯をミモザカラーに染め上げた。
集会には、飛び入り参加した外国人の姿も。米国出身で日本に30年住んでいるという女性は「福岡で長年英語講師として働いているのに、離婚後、外国人のシングル女性という理由で家を借りることができなかった。参政党や高市自民党の躍進に恐怖を感じるが、選挙権がなく、もどかしい。外国人や女性が排除されない日本になってほしい」と思いを語った。
この日は、熊本市の陸上自衛隊健軍駐屯地に国内初となる長射程ミサイルが配備されるとの報道もあり、「平和を求め軍拡を許さない女たちの会・熊本」の海北由希子さんも福岡に駆け付け緊急アピール。「夜に発射装置等を搬入するとのことで、まさに闇討ち。ミサイルは抑止力にはならない。国会が自民党だらけの今、外から声を上げていくしかない」と訴えた。
今回は男性の参加者も多かった。発起人の原田弁護士は、「ジェンダー平等は女性だけの問題ではなく、男性に課せられた重い荷物を取り払い、ともに自分らしく生きようという理念。今後も一緒に歩んでいきましょう」と呼びかけ、大きな拍手が湧き起こった。
神原里佳・ライター
(『週刊金曜日』2026年3月20日号)
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