角川歴彦氏が夏野剛・KADOKAWA社長らを名誉毀損で提訴 「一方的に有罪と判断し公表した」
伊田浩之・編集部|2026年7月1日7:35PM
東京五輪・パラリンピックをめぐり、贈賄罪で起訴され、無実を訴えている「KADOKAWA」の角川歴彦元会長(82歳)が6月16日、同社の夏野剛社長と、社内調査にあたった國廣正弁護士に計2億円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。角川氏が贈賄に関与した可能性が高いとする誤った内容の調査結果を公表されたことで名誉を傷つけられ、刑事裁判での防御権を侵害されたと主張している。

訴状などによると、同社は角川氏が東京地検特捜部による捜査対象となったと同時期の2022年8月に、國廣弁護士を委員長とする危機管理委員会を設置。角川氏が起訴された翌日の同年10月5日、調査結果を記者会見を開いて公表した。さらに同社は同記者会見の場で、國廣弁護士を委員に含むガバナンス検証委員会の設置を取締役会で決議したと公表した。
ガバナンス検証委員会は23年1月23日、同委員会が作成した調査報告書を同社公式サイトで公表。角川氏について「贈賄に該当する可能性が高い」と明記した。
こうした行為について訴状は〈刑事手続における被疑者・被告人の人権は、無罪推定の原則を始めとして憲法及び刑事訴訟法等法令によって保障され、裁判手続によってのみ有罪・無罪が決せられるものとされているところ、被告らは、原告が東京地検特捜部より捜査対象者とされ、本件嫌疑を全面的に否認して無実を争っていることを知りながら、本件検証委員会の名の下に、刑事手続が進行しているのと同時並行的に、本件嫌疑に関する重要証人の立場にあるKADOKAWAの役職員等に対する私的な調査を実施し、かつ、捜査対象者である原告の言い分について全く聴取しようとすることもなく、一方的に、原告が贈賄罪の刑事責任を負う可能性が高いこと、すなわち世間からすれば贈賄罪で有罪であると受け取られる判断をし、これを社会に公表した〉
〈被告らの一連の行為は、無罪推定を受ける被疑者・被告人の社会的評価を不当かつ著しく低下させ、かつ、公平な裁判を受ける権利や、被告人としての防御活動及び証拠収集活動を困難にさせるなどその防御権を著しく侵害する危険性が高く、不法行為に該当することは明らかである〉としている。
検証の中立性に疑問提示
また、ガバナンス検証委員会の委員構成に独立性・中立性が認められず、角川氏の経営責任を問う方針を固めていた夏野社長の意向に沿った調査が行なわれ、事実認定に明白な誤りが含まれることとなった、としている。
角川氏は今年1月、東京地裁で懲役2年6カ月執行猶予4年の有罪判決を受け、控訴している(本誌5月29日号参照)。6月16日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見を開いた角川氏は「ガバナンス検証委員会の報告書を作成する過程で、社員に誤った認識が刷り込まれ(角川氏が関与していたと証言し)たことが(有罪判決に)影響している。報告書は、KADOKAWAの公式サイトに掲載され続け、私が有罪であるかのような印象を与えている」と話した。
KADOKAWAは17日付で、〈これまでの対応は、客観的にみても、当社の企業価値および株主共同の利益を守るために必要かつ相当なものであった〉〈今後、正式な手続を確認したうえで、適切に対応していく〉などとするコメントを発表。取材に対し、國廣弁護士からは回答期日までにコメントがなかった。
(『週刊金曜日』2026年6月26日号)
■「デジタル金曜日」定期購読はこちらをクリック







