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生理休暇要求から100年 請求率は1965年をピークに減少の一途、利用しにくい理由は
神原里佳・ライター|2026年6月25日7:41PM
月経による就業困難を抱える女性は約3割に上るとされ、腰痛や頭痛、貧血のほか、月経前症候群(PMS)による不調も少なくない。働く女性が直面する課題の研究に取り組む「女性労働問題研究会」は5月30日、オンラインで研究例会を開き、女性労働者と生理休暇についてとりあげた。

和光大学の堀川祐里准教授の研究によると、日本で初めて生理休暇の要求が起こったのは1927年。女性の長時間労働や深夜労働などの過酷さに加え、トイレなど設備も整っていなかったことから日本労働組合評議会が「月経時三日の休養と手当支給」を運動の目標として掲げたという。その後、多数の労働組合の要求となり、31年、千寿食品研究所が日本初の有給の生理休暇を獲得。47年、生理休暇が労働基準法に盛り込まれ、世界で初めて法制化された。
ところが、生理休暇の請求率は65年の26・2%をピークに減少の一途をたどり、2020年の厚生労働省調査では0・9%にまで落ち込んでいる。同調査では生理休暇の請求者がいた事業所の割合も3・3%にとどまっていた。
世界に先駆けて導入された制度がなぜ利用されなくなったのか。転機となったのが、1979年に国連総会で採択された女子差別撤廃条約を批准するために、85年に制定された男女雇用機会均等法だ。
この過程で「男女平等とは男女が同じ基盤で就労すること。妊娠・出産に直結するわけではない生理休暇は廃止すべし」という議論が起こり、女性労働者は「保護が欲しいのか、平等が欲しいのか」という二者択一を迫られた。
「結果的に生理休暇は残ったが、男性側の労働環境は変えずに、女性が男性に合わせるとした均等法制定の過程が生理休暇などの保護制度を利用しづらくし、その後の日本におけるジェンダー平等実現にも大きな課題を残すこととなった」と堀川氏は分析。その上で、「労働者が健康で働くための権利として、生理休暇をはじめ、体調を崩したときに気兼ねなく休める政策が必要」と指摘した。
時代に即した制度へ
質疑応答では、生理休暇の現状と今後のあり方について活発な議論が交わされた。参加者からは、生理休暇を「ウェルネス休暇」に統合する動きについて、「男性も含めて更年期などもある中で、生理休暇という名称をなくす会社も出てきているが、それでいいのか」との問題提起があった。また、政府がフェムテック(女性特有の健康課題を技術で支援・解決するサービスや製品を指す。Female〈女性〉+Technology〈技術〉の造語)の普及などを進める一方で、それが健康のためよりも経済成長や労働力確保のための施策となっていることへの懸念の声も上がった。
労働組合関係者からは、生理休暇を取得できない理由として「制度を知らない」「利用しづらい」「男性上司に知られたくない」との声も多く、正規雇用は有給で取得できても非正規雇用は無給という格差の指摘も。堀川氏は「制度は存在するだけでは利用できない。人員不足や職場文化の問題も含めて考える必要がある。ピルで生理の症状を緩和するなど医療技術の活用自体は良いことだと思うが、休まないことを前提に体をコントロールする文化には慎重であるべきだ」との考えを示した。
日本初の生理休暇要求からまもなく100年。堀川氏は「生理休暇は女性たちが獲得してきた歴史的意義を持つ制度。時代に即した形でジェンダー平等に適う制度を模索し、性別にかかわらず労働者が健康を保ちながら働ける日を目指したい」と締めくくった。
(『週刊金曜日』2026年6月19日号)
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