考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

【タグ】

〈非戦の意志を憲法に書き込む〉想田和弘

想田和弘・『週刊金曜日』編集委員|2026年6月25日8:32PM

想田和弘・『週刊金曜日』編集委員。

 解釈改憲にも、ほどがある。

 高市政権下、そう思わざるをえない政策が、次々に実行されつつある。武器輸出解禁、敵基地攻撃能力を有するミサイルの配備、軍事費の倍増、国旗損壊罪……。

 そもそも日本国憲法第9条は、その制定時、他国から攻撃を受けた際に応戦する個別的自衛権も放棄し、自衛隊のような実力組織を持つことを禁じていた。それは当時の吉田茂首相による衆議院での発言などから明らかだ。

 しかし、朝鮮戦争を機に日本は警察予備隊を設置し、後に保安隊、自衛隊へ改組するとともに、それを合憲だとした。安倍政権時には同盟国が攻撃された際に応戦する集団的自衛権を一部認める安保法制を通した。このままいくと、高市政権は憲法の条文を一字一句変えることなく、核兵器を持つことすら合憲だと言い出しかねない。

『週刊金曜日』2025年8月22日号「ジーン・シャープ特集」でも申し上げたように、僕は他国から攻撃を受けた際にも武力で応戦するべきではないと考える「非戦派」である。自衛隊は段階的に災害救助隊へ改組し、日米安保同盟は解消し、代わりにシャープが提唱した非暴力抵抗による「市民的防衛」を国の安全保障政策として採用すべきだと考えている。つまり憲法9条が本来謳った非戦の決意と方針に、立ち返るべきだと思っている。

 しかしそのためには、高市政権による改憲を阻み、憲法の条文を変えさせないだけでは、不十分である。条文はそのままでも、実質的に憲法を変えたのと同じ状況を作られてしまったからだ。

 だから僕は、恣意的な解釈のしようがないよう、憲法9条にはっきりと非戦の意志を書き込むことを提案したい。具体的には、9条に①個別的自衛権や集団的自衛権も永久に放棄すること、②自衛隊は段階的に災害救助隊へと改組すること、③日米安保同盟は段階的に解消すること、の3点を明確に書き加えるのである。

 いかがだろうか。

 高市政権は解釈改憲を進めるだけでなく、憲法の条文を変える改憲のための作業も進めている。その改憲案はおそらく、自衛隊ないし「国防軍」の存在を憲法に明記し、海外にも派兵できる内容になるであろう。

 そうした動きに対抗するためにも、私たちには非戦を徹底するための改定案を提起し、広く世に問う積極性が必要なのではないだろうか。

(『週刊金曜日』2026年6月26日号)

※「デジタル金曜日」定期購読はこちらをクリック

【タグ】

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版をアプリで読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

増補版 ひとめでわかる のんではいけない薬大事典

浜 六郎

発売日:2024/05/17

定価:2500円+税

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ