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「安保法制」違憲訴訟、東京高裁は棄却 「女の会」控訴人らは最高裁に上告へ
阿久沢悦子・生活ニュースコモンズ|2026年6月25日8:14PM
2015年に成立した安保法制は違憲だとして、全国112人の女性たちが国家賠償を求めた「女の会」訴訟で東京高裁(谷口豊裁判長)は6月8日、控訴人らの訴えを棄却する判決を言い渡した。控訴人側の代理人は判決を不服とし、近く最高裁に上告する。

安保法制は「集団的安全保障」の名の下、他国が攻撃されたことに対する日本の武力行使を容認する。女性たちはこれを「日本国憲法の戦争放棄と平和主義に反して違憲」として16年8月15日に提訴。一審の東京地裁では裁判長が原告側の弁論を聞かず退廷したため、原告側が判決をボイコットする中で、請求棄却が言い渡された。今回の控訴審判決も「国賠法の請求を基礎づける具体的な権利侵害がない」として請求を棄却した。
一、二審を通して女性たちは、日常の中に差別と暴力という「戦争状態」があり、その淵源は「家父長制」、その究極の形が「戦争」だと定義。「軍隊」「軍事力」は人間を国家のために支配する力の根源であり、家父長制とそこから生み出される差別や暴力に対して「触媒」として機能し強化すると、女性たちは体験的に思い知らされてきた、と主張した。 また、安保法制の強行採決により「人間の安全保障」「安全保障におけるジェンダー主流化」の議論が封殺されたことも問題視。安保法制と安保三文書により軍事費が倍化し、増税が進んだ一方、医療や社会保障制度に使われる予算が圧迫され、憲法が規定する幸福追求権、生存権、男女平等などが侵害されていると訴えた。
これに対し、今回の判決は「憲法9条、解釈改憲が問題となる事案だとしても、裁判所は具体的な争訟事件を離れて抽象的に政府や国会の立法行為の違憲、違法について判断する権限を有しない」とし、違憲性について判断しなかった。
また、控訴人13人の意見陳述を2~3行ずつに圧縮、矮小化。そのうえで、安保法制は一般的抽象的な法規範なので、控訴人らの人格権または人格権的利益を具体的に侵害するものと認めることはできない、と結論づけた。代理人の一人、山本志都弁護士は「私たちの主張をつまみ食いし『気持ちはわかるが、ちょっと傷ついただけ』とした。人権というものがまったく理解されていない」と批判した。
「家父長制の強化進む」
代理人は声明で、最近の情勢について「高市(早苗)政権が軍事化と家父長制を強化して人間を道具化する国家主義に向かう憲法改正を加速している」とし、「軍事は、家庭や学校、地域における暴力につながる。産業の軍事化は企業や職場にも大きな変化をもたらす」と憂慮の念を表明した。
判決後の控訴人側報告集会で、中野麻美弁護士は「地方自治や女性支援の現場で起きている具体的な権利侵害について、これだけ立証を尽くしてもわからない。裁判官に『ジェンダーバイアス』があるせいではないか」と話した。
角田由紀子弁護士も、全国25の裁判体で争われた安保法制違憲訴訟の判決について「すべてが『戦争になってから言いなさい』。とりわけ女性たちの具体的な被害実態を見ようとしないのは、家父長制と戦争がずっと法律を支配し、それに基づいた法学教育がなされてきたからだ」と主張した。
安保法制違憲訴訟の控訴審は名古屋訴訟を残すのみとなった。名古屋高裁で判決が8月5日午前11時に言い渡される。
(『週刊金曜日』2026年6月19日号)
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