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再審見直し法案が衆院で可決 袴田ひで子さんらが意見陳述「政府案は抜け道づくりだ」
粟野仁雄・ジャーナリスト|2026年6月25日8:05PM
衆議院で再審制度見直しをめぐる審議が山場を迎えた6月9日、同院法務委員会に袴田巖さん(90歳)の姉・ひで子さん(93歳)と、静岡地裁で2014年に巖さんの再審開始や釈放を裁判長として決定した弁護士の村山浩昭さん(69歳)が参考人招致された。

意見陳述でひで子さんは、まず政府案の再審開始決定に対する検察抗告の「原則禁止」について「抜け道だと思っております」と指摘した。また、再審での証拠開示の義務化についても、これがあるからこそ巖さんが救われたとして「良い証拠も悪い証拠も、すべて出して裁判するのがフェアだと思っております」と述べた。その後の質疑では、東京拘置所で巖さんの近くの独房に収容されていた人に死刑が執行された後は巖さんとの会話が成り立たなくなり3年半も面会を拒否された辛さを吐露。他方で「巖だけが助かればいいのではありません」と、制度の意義について改めて強調した。
続いて意見陳述した村山さんは証拠開示の義務化を中心に発言。「再審に至る事件では、その価値を判断できる弁護側に証拠を幅広く、直接見せるべきだと思わせる局面が必ず来る」と指摘した。政府案は検察に裁判所が証拠提出を命じる条件として再審請求理由との関連性、必要性などを挙げているが、これについても「裁判官が『関連性』に縛られず裁量で開示を命じられるように、規定を明文化すべきです」と訴えた。
証拠の目的外使用禁止に関しても、村山さんは「プライバシーについては少年審判などでも個別に対応して守っており十分守れる。袴田(巖)さんの事件でも『5点の衣類』の写真が支援者や報道機関に知られたことで無罪判決につながった」と言い、禁止に反対した。検察の抗告についても「全面禁止に賛成。そうでなければ実効性がない」とした。
政府案「賛成」側の主張
村山さんは巖さんの事件を担当したことで「人生観が変わった。開示された証拠を見て、日本でこんなこと(証拠捏造)が起きていたのかと衝撃でした」と回顧。「国家が税金と強制力で集めた証拠から有罪立証に都合のよいものだけ提出する検察の不条理」を訴える熱弁に大きな拍手が送られた。福井中学生殺人事件で昨年雪冤を果たした前川彰司さんも傍聴後、「感動しました」と感想を述べたが、一方で「でも(議員には)僕ら当事者の話をもっと聞いてほしかった」とも語った。
この日は犯罪被害者支援をしている弁護士の吉沢徹さん(岡山弁護士会)も意見陳述。「目的外使用は性犯罪被害者にとって不安がある」などと政府案への賛成を訴えた。
5月26日からの法務委員会審議では、冤罪被害者が犯罪被害者と対立する存在かのように印象付ける法務省の思惑も垣間見えた。筆者が後刻の取材時にそうした見方を述べると村山さんは「冤罪被害者は司法手続きが生んだ犠牲者で、犯罪被害者とはまったく違う。新証拠で真犯人を見つけてほしいという犯罪被害者は多い。(法務省が)対立しているように見せるなら腹が立ちます」と話していた。
同法務委では6月10日に高市早苗首相が答弁。「証拠が目的以外に使用されると名誉やプライバシー侵害、捜査への協力確保の困難などが生じる」と、使用禁止を盛り込んだ政府案に理解を求めた。12日の同法務委では、修正された政府案が自民党、日本維新の会、参政党の賛成多数で可決された。
(『週刊金曜日』2026年6月19日号)
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