クルド人の人権擁護に取り組む在日朝鮮人弁護士が自らへのヘイトで提訴 「差別の連鎖許すな」
石橋学・『神奈川新聞』記者|2026年6月10日6:54PM
差別にさらされているクルド人の人権擁護に取り組んだところ、インターネット上のヘイトスピーチで攻撃されたとして、在日朝鮮人の金英功弁護士が約720万円の損害賠償を投稿者に求める訴訟をさいたま地裁で起こした。5月20日に第1回口頭弁論が開かれ、意見陳述した金弁護士は「マイノリティを守ろうと立ち上がった別のマイノリティへの二重の差別。関係者をも標的にする差別の連鎖で、放置すれば誰も支援の声を上げられなくなる」と訴えた。

金弁護士は地元の埼玉県蕨市でのクルド人排斥デモを止めるため弁護団の先頭に立ち、2024年11月、デモ禁止の仮処分決定を求めて勝ち取った。翌日に会見を開くと顔写真つきで名指しの差別投稿がSNSにあふれ返った。
被告はブログにも「クルドの性犯罪、反日、不法占拠をサポートしている」「被害者ビジネス『ヘイト』は利権の塊」などデマを投稿。原告側は人種差別でヘイトスピーチに当たると主張している。
金氏は生まれ育った蕨に弁護士がいないことから、住民の役に立ちたいと地元で事務所を開設。自身同様、差別に苦しむクルド人を目の前にして「自分がやらなくてどうする」と立ち上がった。その思いを踏みにじる攻撃だった。
事務所に嫌がらせの電話が鳴り、家族に危害が及ぶのではとの恐怖にも苦しめられた。「裁判で違法な差別と認定されることが同じ境遇にある人、これから同じ境遇になる人のためになる。一弁護士としても良い結果になるよう励んでいく」。報告集会で自らの使命を語った言葉に覚悟が滲んだ。
(『週刊金曜日』2026年5月29日号)
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