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〈冤罪を早期に救済する再審法改正を!〉宇都宮健児

宇都宮健児・『週刊金曜日』編集委員|2026年6月2日6:11PM

宇都宮健児・『週刊金曜日』編集委員。

 法務省は法制審議会(法相の諮問機関)の答申を受けて、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案をまとめ、国会提出前に改正案を自民党に提示した。

 3月下旬から自民党の司法制度調査会と法務部会の合同会議で改正案の事前審査が始まったが、合同会議では法務省が提示した改正案に対する批判が噴出した。このため法務省が改正案の修正を繰り返す異例の事態となった。

 とりわけ批判が噴出したのが、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)が維持されている点であった。検察の抗告は再審手続きを長期化させる大きな要因となっている。

 静岡県一家殺害事件で再審無罪判決が確定した袴田巌さんの場合、2014年に再審開始決定が出されたが、検察が抗告をしたために、再審無罪判決の確定までさらに約10年を要した。また、福井女子中学生殺人事件で再審無罪が確定した前川彰司さんの場合、第1次再審請求の再審開始決定が検察の抗告で取り消されたため、無罪確定まで約13年かかっている。さらに、滋賀県日野町で酒店経営の女性が殺害された「日野町事件」では、強盗殺人罪で無期懲役となり、服役中に亡くなった阪原弘さんの遺族が第2次再審請求を申し立て、18年に大津地裁が再審開始を決定したが、検察が2度にわたり抗告をしたため、今年の2月24日に最高裁が再審開始を決定するまでに約7年半を要している。

 日本の旧刑事訴訟法はドイツの刑事訴訟法をモデルとして制定されたものであるが、ドイツでは半世紀以上前に再審開始決定に対する検察の抗告を禁止している。検察は再審開始決定に対する抗告ができなくても、不服であれば、再審公判の場で有罪立証をすればよいのである。

 法務省は自民党の批判を受けて刑事訴訟法の本則に検察の抗告の原則禁止を盛り込む修正を行なったが、法務省の改正案には、証拠開示の対象を制限している上に開示された証拠の目的外使用を禁止していること、明らかに理由のない再審請求は審理に入らず棄却する「スクリーニング(選別)規定」が盛り込まれていることなどの問題点も残されている。

 無実の人を処罰する冤罪は国家による重大な人権侵害であり、再審制度は冤罪被害者を救う唯一の制度である。今後の国会審議の中で、冤罪被害者の早期救済につながる再審法の改正が実現することを期待する。

(『週刊金曜日』2026年5月22日号)

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