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「国家情報局」設置法案成立へ 監視機関や国会報告義務のないまま動きだす

佐藤和雄・ジャーナリスト|2026年6月2日6:38PM

 今国会で高市早苗首相が本会議や委員会の質疑に出席する「重要広範議案」4法案のうち、政府のインテリジェンス(情報の収集・分析)機能を強化しようとする国家情報会議設置法案をめぐる審議が、参議院内閣委員会で最終段階に入ろうとしている。早ければ5月中にも可決・成立するかもしれない。新しいインテリジェンス体制は、その活動を監視する機関や、国会への報告が法律に規定されないまま動きだすことになる。

参議院内閣委員会で質問に答える木原稔官房長官。(参議院インターネット審議中継から)

 法案は、現在は事務次官級で構成する内閣情報会議を格上げし、閣僚級の国家情報会議を設置するとともに、内閣情報調査室(内調)を国家情報局に格上げする。国家情報局には、各省庁の情報を効果的に集約するための「総合調整権」を付与する――という内容だ。高市政権は、この法案を今国会で成立させ、7月にも一連の組織を創設すると伝えられている。

 『週刊金曜日』4月24日号でお伝えしたように、内調は日本が独立を回復した1952年にその前身が発足し、それ以来、着々と発展してきた。今回の国家情報局への格上げは、ロシアのウクライナ侵攻によって示された国際情勢の不安定化と、情報収集方法の変化に対応し、政府、とりわけ内閣官房の機能を強化しようとするものだ。

 現在の内調の役割は、トップである原和也内閣情報官の説明によれば「内閣総理大臣を直接補佐・支援する内閣官房において、『内閣の重要政策に関する情報の収集及び分析その他の調査に関する事務』を担当している」という。

 しかし、現実にはそれが万全の機能を果たしているとは言い難い、というのがこの法案の背景にある。木原稔官房長官は5月12日の参議院内閣委員会でこう述べている。

「政府全体としての情報集約、総合分析が必ずしも十分ではないということであったり、各省庁から官邸に対して提供される情報に不整合があったり、それぞれの機関が同じような調査をして同じような情報が同時に届いたり、そういった課題が実際にあった」

内閣と情報局の判断次第

 一方で、市民のプライバシーが侵害されるのではという心配は当然のように出ている。法案には政府の情報収集活動に対する監視機関が設けられていない。国会への定期的な報告も定められていない。

 木原官房長官は「政府の情報活動の実施状況や、その成果としての脅威評価に関しては業務上の支障が生じる恐れのあるものを除き、国会からのお求めに対するものも含め、適時適切にご説明するとともに公表可能なものがあれば公表してまいりたいと考えております」と答弁した。つまり説明や報告は、情報活動を実施している内閣官房と国家情報局の判断次第なのだ。

 筆者が最も驚いたのは、衆議院では中道改革連合が賛成に回ったことだ。内閣委員会で長妻昭議員が国会報告がないことなどを鋭く問題視していたにもかかわらずだ。

 衆院本会議での賛成後、小川淳也代表はXで「本来求めていた条文修正は受け入れられませんでした。そのため、問題点は国会質疑で一つひとつ確認し、答弁として議事録に残しています。それでも不安が残ることは承知しています。施行後の運用を厳しく監視し、問題があれば即座に追及します。白紙委任ではありません」と説明した。有権者はこれで納得するだろうか。

(『週刊金曜日』2026年5月22日号)

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