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日本の女性参政権行使から80年 女性首相が誕生してもジェンダー平等は遠い

宮本有紀・編集|2026年5月19日4:11PM

 1946年4月10日に日本の女性が参政権を行使してから80年。女性の政治参加はどれほど進んだかと言えば、昨年、日本初の女性首相が誕生はしたものの、女性閣僚は3人しかおらず、衆議院の女性議員比率は14・6%と低迷。しかも、高市早苗首相の家父長制的な価値観の下、ジェンダー政策は後退が懸念されている。

参政権行使記念日の4月10日、イベントに参加した人々。思い思いのスローガンを胸に。(撮影/宮本有紀)

 参政権行使記念日である4月10日、東京都内でパリテ・キャンペーン実行委員会が開催した記念イベント(共催:ウィメンズアクションネットワーク)に登壇した辻元清美参議院議員は、女性参政権獲得に尽力した市川房枝氏の「平和なくして平等なく、平等なくして平和なし」という言葉を紹介。「戦前は家制度があり、これが戦争を遂行していく権威になった。そして男性しかいない議会で戦争を決めた。女性議員が半分いたら、あんな無謀な戦争に突っ込んでいなかったのではないか。だから女性議員を増やしたい。立憲民主党は女性20人、男性19人でパリテ(男女同数)を達成。衆議院では(中道改革連合の結成を決めた)男性たちにやられてしまったが次は取り返さないと」と語った。

 パリテ・キャンペーンに加わる三浦まり上智大学教授も「日本の女性参政権を求める運動は1930年をピークに盛り上がったが、戦争によって断ち切られてしまった。平和なくして平等なし、という市川房枝さんの言葉は歴史から生まれた重い言葉」と、平和と平等の関係に言及。パリテ議会の実現を目指し10年前に始まったキャンペーンについて「女性議員の倍増を目指してきた。倍増にはなっていないが、地方選でも国政でも女性は選挙に強くなった。おじさんばかりの政治は嫌だという思いが社会に広がったからこそ高市さんは首相になれた」と振り返った。

 そして「私たちが求めるのは、女性も男性も対等に政治に参加でき、一人ひとりの幸せが守られる社会。『平和のうちに生存する権利』が書かれている憲法を持つ国であることを胸に刻みながらさらなる躍進に向かいたい」と話した。

ガラスの天井は破れず

 政治とジェンダーが専門の申琪榮お茶の水女子大学教授は4月12日、首長と自治体議員と市民のネットワークLIN-Net主催の政策ラボで、世界の女性リーダーを比較。「既成政党に飽きた人々の怒りを引き受ける受け皿」として刷新感のある女性リーダーが誕生しやすくなることを指摘した。

 しかし、「象徴的代表として女性が〈いる〉ことと、実質的代表として女性の利益が政策で前進することは自動では結びつかない」ことを強調。「2月の総選挙で自民党議員の女性比率が16・1%から12・8%と低下。これは100%高市さんの責任。あらゆる選挙区に女性候補を立てれば当選できたのに、新人女性より裏金議員を呼び寄せた」とし、象徴的代表が強いほど「ジェンダー平等が前進した」という錯覚が生じて実質的代表の停滞が見えにくくなると指摘した。

 また、イタリアのジョルジャ・メローニ首相やフランスのマリーヌ・ルペン国民連合党首など右派の女性政治家は「物価・雇用・暮らし、などやわらげて語る。移民より年金・物価問題を前に出す」ことでソフトなイメージを出し支持を広げるが、国家主義・排外主義政策を持つと分析。高市首相も例外ではない。

 申教授は「女性首相が誕生したことでメディアがガラスの天井は破れたというが、まだ破れてはいない。ヒビが入ったぐらいというのが正しい表現」とし、人権を重視しジェンダー平等を推進する女性リーダーが出現するまで「ヒビを入れ続け、破れる日まで止まってはいけない」と語った。

(『週刊金曜日』2026年5月1日・8日合併号)

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