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「菊池事件」即時抗告審の協議進む 市民らは「全国ネット」結成
高波淳・フリージャーナリスト|2026年5月19日3:26PM
ハンセン病患者とされた男性Fさんが、熊本県内で1952年に起きた殺人事件について隔離施設内の「特別法廷」で裁かれ、無実を訴えながら62年に死刑を執行された「菊池事件」。4月28日に「菊池事件の再審無罪を求める全国ネットワーク」(略称:菊池事件全国ネット)が結成された。

再審をめぐっては、熊本地裁が1月28日に再審請求を棄却し、弁護側が2月2日に福岡高裁に即時抗告(本誌同月6日号で既報)。同月10日に同高裁で裁判所、検察、弁護団の三者による1回目の進行協議(非公開)が開かれ、即時抗告審の審理が始まった。
「菊池事件全国ネット」の結成は、4月28日に2回目の進行協議が行なわれたことに合わせて、同日夜に福岡市内で開かれた結成集会で提案・承認された。また、同日、再審開始を求める市民らの署名計1万2423人分が同高裁に提出された。
結成の狙いは、これまでの運動に、より広がりを持たせて、Fさんの再審無罪を願う団体と個人をつなぎ、互いに交流し励まし合いながら大きなうねりをつくりだすことだ。まだ広く社会に知られてはいない菊池事件の問題を、少しでも多くの人に知ってほしいとの願いもある。
結成集会の主催者によると、同集会には93人が参加し、ユーチューブでもライブ配信された。4月28日現在で約40団体が「菊池事件全国ネット」に参加登録しているという。事務局を担う伊藤京子さん(49歳)は「多くの市民と手をつなぎ、この菊池事件でFさんの再審無罪を勝ち取っていきたい。思想信条や党派を超え、『Fさん、これで死刑になるなんておかしいよね』という一点だけで共闘する」と話した。
神戸市から参加した大島美智子さん(70歳)は「菊池事件やハンセン病問題は、私たち市民の問題だ。Fさんを殺したのは法曹三者だけれど、それを見てきた私たち市民自身が、自分の問題として考えないといけないと思っている。多くの個人が集まってほしい」と話した。
この他、集会では「出会いを大事にしながらハンセン病問題のことを広げていく。Fさんの人間の尊厳を絶対取り戻したい」(男性参加者)などの発言があった。
異例の早さで審理開始
この日の集会に先立ち開かれた進行協議を受け、弁護側は記者会見した。それによると弁護側は「憲法違反を理由に再審をしても事実誤認は是正されないから再審事由にはならないとした熊本地裁の決定は、再審制度の趣旨や最高裁の判例に反する」などとする研究者5人の意見書を証拠として提出した。次回の協議は7月17日に開かれることになったという。
弁護団の説明を基にこれまでの経緯を振り返ると、1回目の協議で溝国禎久裁判長が「それなりのスピードをもって(審理を)進めていきたい」と表明。弁護団共同代表の徳田靖之弁護士(82歳)が「請求人が高齢で健康状態の問題もあるから、できるだけ早い審理をお願いしたい」と話した。審理は「異例の早さ」(同弁護士)で始まったが、溝国氏は3月8日付で福岡地裁の所長に就任。このため裁判長は岡部豪氏に交代した。
「菊池事件全国ネット」事務局では多くの団体や個人の参加を呼びかけている。
(『週刊金曜日』2026年5月15日号)
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