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〈高市訪米〉田中優子

田中優子・『週刊金曜日』編集委員|2026年4月16日4:55PM

田中優子・『週刊金曜日』編集委員。

 高市早苗首相が米国に出発する前日の17日、かつて国連で武装解除に携わっていた伊勢崎賢治議員が国会で、戦争直前まで米国とイランの交渉を仲介してきたオマーンの外相の証言を首相に伝えた。それはイランが「核弾頭の製造につながる核物質を保有しない、既存の濃縮ウランのすべてを可能な限り低濃度にして燃料化する、IAEA(国際原子力機関)の全面的な査察を受け入れる」ことに同意していたという内容だった。にもかかわらず米国は攻撃したのである、と。そして湾岸諸国の大使たちは停戦と核交渉への復帰を望んでいる。首相は湾岸諸国の声を聞いてほしい、としめくくった。

 3月19日、高市首相が米国に旅立った日の夜には、国会前で1万人超と思われる人々が改憲反対、自衛隊派遣反対の声を上げた。このように、さまざまな声が届けられ、そして日米交渉が始まった。

 しかし着くと同時に高市首相はトランプ大統領に抱きつき、会談冒頭で「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」と大統領のファーストネームで呼びかけ、「イランの核兵器開発は許されない」と非難した。そして米国内での次世代原子炉「小型モジュール炉」建設と天然ガス発電施設に、最大730億ドル(約11兆5000億円)の対米投資第2弾を約束したのだった。

 小型モジュール炉は、出力単位での放射性廃棄物が従来の原発以上であることを、原子力市民委員会は明らかにしている。しかもその前に日本は500億ドル(約8兆円)の対米投資を約束している。総額で5500億ドル(約87兆円)規模の対米投資が合意点となっているそうだ。この資金は政府の財政投融資(国民の税金や郵貯簡保などの公的資金)が原資である。しかも対米投資で生まれる利益の9割が米国側に帰属するとの試算がある。

 自動車産業などを追加関税から守るので間接的に日本経済の安定に寄与する、との見方もあるが、それは盛んに自動車を造って輸出していた時代のことではないのか。今は新しい国内産業に投資して育てねばならないのに、それを米国に回した。高市首相、あなたは日本の首相か?

 首相は記者団からホルムズ海峡への艦船派遣をトランプ氏から求められたかを問われるとそれには答えず、「日本の法律の範囲内でできることとできないことがあるので、詳細にきっちりと説明した」と述べた。その「説明」とやらは、今後、米国政府にどう利用されるだろうか。

(『週刊金曜日』2026年4月3日号)

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