「推し」への納税は幸せなのに 雨宮処凛
雨宮処凛|2026年4月6日8:12PM

今年もなんとか確定申告を終えた。
4年以上にわたる物価高騰の上、ホルムズ海峡封鎖によるさらなる物価高が懸念される中、前年度と比較して私の収入は大幅ダウン。去年、かなり働いたはずなんだけどな……とじっと手を見つめる日々だ。
税務署に書類を提出した帰り、確定申告から解放された喜びを抑えきれず友人にその旨をラインした。すると友人からは「こんな国に納税して本当に偉いね」という労いの返事。それを見て、「本当にその通りだ、特に最近は税金の使い道にしてもムカつくことばかり」と急に「金返せ」モードになったのだった。
さて、私は10代から今で言う「推し活」をしてきて、その歴史は40年近くに及ぶ。そんな私にとっての「納税」とは、カラオケで推しの歌を歌い、推しに印税を納めること。推し活をする人の間では「納税」と言えば明らかにこっちで、推す方にとっても推される方にとっても幸せな行為だ。ちなみに私の読者の場合、私の本を買うことによって私に印税が入り、納税されるという仕組みだ。
それがどうしたことだろう。カラオケを歌うことによって推しに支払われる印税は、「推しの電気代とかの足しになるかも」とウキウキなのに対して、国に取られる税金は、「よく知らんおっさん(国会議員)の裏金になるのかも」と、一気にどんよりした気分になるではないか。
しかも、そっちの方が桁違いに額が多いのである。
その上、最近は「国による病者切り捨て」のようなことが目に余る。高額療養費の負担増もそうだが、抗アレルギー剤などOTC類似薬(市販薬と効能・成分が類似した処方薬)の負担増もひどい。
ちなみに私はアトピー、喘息、アレルギー性鼻炎というアレルギー三重奏。薬代が高くなることは大打撃だ。なんとなく、国からお前のような弱い奴は知らない、と存在を否定されているような惨めな気持ちになってくる。「たかがアレルギー」でも、病気はつらい。お金も時間も取られるし、小さな頃から「なんで自分だけ」と思ってきた。そこにさらなる追い討ちである。なぜこんな仕打ちを? と思うのは私だけではないはずだ。
推しへの納税ほどじゃなくていいけど、もう少し、幸せな納税をしたい。自分がこの国を支える一人なのだと誇れるような。そう思って、なんだか泣けてきた。ああ、本当に税金を払いたくない。
(『週刊金曜日』2026年3月27日号)
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