〈大義なき通常国会冒頭解散〉宇都宮健児
宇都宮健児・『週刊金曜日』編集委員|2026年2月10日7:03PM

高市早苗首相は1月19日の記者会見で、23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散すると表明した。衆院選の日程は、1月27日公示、2月8日投開票となる。解散から16日後の投開票は、戦後最短で「異例ずくめ」の解散となる。
高市首相は1月5日の年頭の記者会見では、「国民に物価高対策、経済対策の効果を実感してもらうことが大切だ」と早期解散に慎重な姿勢を示していた。選挙となると2026年度予算の年度内成立は困難となり、これまで物価高対策など政策実現を最優先にしてきた首相の言動と矛盾することになる。
高市政権は、国会が始まれば、台湾有事を巡る首相発言や日中関係への対応、裏金問題などの「政治とカネ」問題、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党との密接な関係を示す旧統一教会の内部文書問題、首相が代表を務める政党支部が政治資金規正法で定める上限を超える企業献金を受け取っていた問題、連立を組む日本維新の会の「国保逃れ」問題など、国会で追及される問題を多く抱えている。このため、支持率が高いうちに解散し、議席を増やしたいというのが本音と思われ、「大義なき解散」と言わねばならない。
高市首相の通常国会冒頭解散の動きに対抗して1月15日、立憲民主党の野田佳彦代表と公明党の斉藤鉄夫代表が国会内で会談して「中道」を旗印にする新党を結成することで合意し、翌16日には新党の名称を「中道改革連合」とすることを発表した。また、立憲民主、公明両党は19日、新党「中道改革連合」の綱領と基本政策を発表した。綱領では「生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義」を理念に掲げ、「生活者ファースト」を重視すると表明した。
高市政権は、排外主義につながりかねない外国人規制や殺傷力のある武器輸出拡大、安保3文書の前倒し改定、非核三原則の見直し、スパイ防止法の制定などをめざしており、右傾化、保守化が著しい。「生活者ファーストの政治の実現」をめざす新党「中道改革連合」が右傾化が著しい高市政権の対立軸となれるかどうか、2月8日の衆院選で早速試されることになる。新党「中道改革連合」の結成は、今後のさらなる政界再編につながる可能性があるものと思われる。
「中道」を旗印とする新党「中道改革連合」が結成されたが、リベラル左派政党の動きがあまり見られないのは残念である。
(『週刊金曜日』2026年1月30日号)
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