日本の軍事化に危機感抱く市民団体が防衛省に新年度予算撤回要求
土岐直彦・ジャーナリスト|2026年2月10日6:23PM
急速に進む日本の軍事化に危機感を抱く市民らによる「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」(沖西ネット、38団体)が1月26日、東京の参議院議員会館で防衛省との交渉に臨んだ。戦争準備は断じて容認できないとする市民らが当日はオンラインも含め計440人参加。「平和国家の堅持」を投げ捨て大軍拡を進める2026年度当初予算案の白紙撤回を迫った。

この防衛省交渉は高市早苗首相の「存立危機事態」発言で日中間の軍事緊張が高まっていることも踏まえ企画された。日本の防衛費は25年度当初予算では関連経費を含め約9・9兆円。22年度のGDP(国民総生産)比では1・8%で、これを27年度に2%(約11兆円)にする計画だった。だが、25年度の補正予算で約1・1兆円を積み増した結果すでに2%に到達。防衛費の世界ランキングでロシアを抜き、米中に次いで世界で第3位の軍事大国に躍り出た。
米トランプ政権は日本に対してこれをさらに3・5%へ増額することを要求。この場合、防衛費は年間21兆円余、予算全体の2割弱を占め、国民一人当たりの負担は年約17万3000円となる。財政の軍事化と裏腹に人々の暮らしへしわ寄せが及ぶのは必至で、沖西ネットも今回の交渉に先立ち「このままでは防衛予算は国家財政を破綻させる。国民の福祉、民生費に回して」と訴えてきた。
この日の交渉は沖西ネット側が事前提出した5項目の質問事項(予算・政策方針、ミサイル配備・運用、基地建設・施設強化・演習、国民保護、住民対応)に沿い進行。ミサイルの南西諸島・本土配備による列島の要塞化、ミサイル弾薬・武器を大量に備蓄する弾薬庫計約130棟の新設、有事に沖縄・先島諸島の住民ら12万人を九州や山口県に避難させる非現実的な計画などが議題に。
住民説明会いまだ開かず
まず最初に取り上げられたのが3月に健軍駐屯地(熊本市)へ初配備が予定される敵基地攻撃能力を持つ長射程ミサイルの問題だ。地元での住民説明会は防衛省側が「必要ない」として開かないまま。地元から参加した海北由希子さん(沖西ネット共同代表)ら市民3人が「私たちには知る権利があるのに何も知らされていない」と追及。会場からも「説明会を開き、住民が納得するまでは配備しないで」と呼応する声が上がった。
住宅地ど真ん中にある同駐屯地へのミサイル部隊や弾薬庫の配備は日本政府も加盟するジュネーブ条約追加議定書の「軍民分離」の原則に反することも指摘された。配備は「抑止力」というのが国側の常套句だが、「抑止」が破れた瞬間、当地は相手からの大規模攻撃にさらされる不安がある。2月23日に同駐屯地を囲み市民の意思を示す「人間の鎖」が予定される。
熊本からは「最近、自衛隊員は通勤中も買い物でも迷彩服を着たまま。威圧感がある」との声も交渉では上がった。沖縄県の宮古島では25年8月、市街地演習中の陸上自衛隊・宮古警備隊長が、平穏に監視行動を行なっていた市民を恫喝する事案が発生。交渉の席でも謝罪が求められた。
防衛省からは全体的に官僚的な回答が目立ち市民にはいらだちも。沖縄から参加の具志堅隆松さん(沖西ネット共同代表)は「本土の沖縄化が進行」と現状を指摘。防衛省職員に「戦争準備をするみなさんは順序が逆。戦争ではなく、平和外交にこそ力を注いでください」と訴え、交渉を締めくくった。
(『週刊金曜日』2026年2月6日号)
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