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解散表明から投票まで21日、戦後最短の選挙事務に追われる自治体・選管悲鳴

阿久沢悦子・生活ニュースコモンズ|2026年2月10日6:13PM

 高市早苗首相が解散総選挙を正式に表明したのは1月19日。投開票日は2月8日となり、各自治体の選挙管理委員会はわずか21日間で準備から投開票までのフローをこなさなければならなくなった。

市長選・市議補選・衆院選の期間が重なった埼玉県川口市。ポスター掲示板は全長6.5メートルにも及び、一部で衆院選の掲示板を断念。(写真の一部を加工。撮影/阿久沢悦子)

「投票箱が足りへん」「ポスター掲示板も間に合わへん」

 知事、市長、衆院選のトリプル選挙となった大阪市では1月19日に開いた市選管の会議で実施に黄信号が点った。ポスター掲示板は通常、市内に約2000カ所設置するところを、3分の1の666カ所に抑えた。それでも告示日に設置が間に合わないところがあった。

 投票箱は各投票所に知事、市長、衆院小選挙区、比例、最高裁判所裁判官国民審査の五つが必要。市議補選が重なった東住吉区では期日前投票所を含む19投票所に六つずつ計114個が必要となり、16個不足した。業者に発注し、急遽在庫を送ってもらったという。購入費用は約50万円。

「各投票所に3人ずつ職員を派遣し、混雑や滞留が起きないように人の流れを整理する」(区選管)

 知事選、県議補選が重なった長崎市でも投票箱が不足。投票所の広さから三つ以上置けず、衆院比例と最高裁国民審査、知事と県議補選を一つにまとめ全部で三つとする奇策をとらざるを得なかった。開票時は投票用紙の色により、目視と機械の併用で仕分けするという。「初めてのことなので間違いないよう慎重に臨みたい」(市選管)。投票用紙交付や場内整理のため投票日のみ稼働する会計年度任用職員200人を公募した。

 東京都町田市長・市議選は2月15日投開票。1週前に突然衆院選が割り込んできた。市選管は市長・市議選の投票所入場整理券を世帯別に封入する封筒に「2月8日執行衆院選」のシールを貼って転用。職員120人を日曜返上で動員してシールを貼り、1月27日に約21万世帯に発送。市長・市議選用の封筒は新たに刷り2月4日以降に送るという。交通の妨げになるなどの理由で44カ所で衆院選のポスター掲示板を増設できなかった。

首長が連名で緊急声明

 市長選・市議補選が2月1日投開票の埼玉県川口市も716カ所のポスター掲示板のうち、衆院選用が併設できたのは388カ所にとどまった。314万人弱の有権者を抱える横浜市は入場整理券を世帯ごとに封入した封筒の送付を断念。個人あてにハガキで送る。それでも最も遅い地域は2月4日ごろに到着予定。市は「入場券がなくても投票ができる」と公式サイトなどで案内している。

 いつもの場所にポスターがない。投票所入場整理券が届かない。そのため投票を断念する人が出るかもしれない。それは私たちの選挙権の侵害ではないのか。そのうえ人件費や機材の購入、印刷費など莫大な追加コストがかさむ。

 1月19日、東京都の杉並区、中野区、世田谷区、多摩市、神奈川県小田原市の五つの首長が連名で「衆議院解散に伴う自治体首長の緊急声明」を出した。

「日常業務に加え、国の経済対策への対応、さらに選挙事務が短期間に集中することは、今後の行政運営や職員の働き方に深刻な影響を及ぼしかねません。私たちは、自治体の責任者として、強い問題意識を抱かざるを得ません」

「政権による解散権の行使の在り方、乱用を防ぐための制度や議論を、社会全体で改めて行うことを強く求めます」

 首長らが参加するローカルイニシアチブネットワークは賛同自治体を募っている。

(『週刊金曜日』2026年2月6日号)

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