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島根原発2号機差し止め訴訟 8年ぶりの口頭弁論で中四国・関西の被害説明

芦原康江・島根原発2号機差し止め訴訟原告団長|2026年1月6日6:35PM

 私たちが、島根原発1、2号機の運転差し止めを求めることになったのは、1995年の兵庫県南部地震をきっかけに、島根大学の地質の専門家が「島根半島の宍道(しんじ)断層は活断層の疑いがある。調査すべきだ」と指摘したからだった。私たちは、中国電力に調査を求めたが、当時の中国電力は「建設時の調査で活断層ではないことを確認している」と応じなかった。

10月27日、島根原発の裁判終了後に島根教育会館で開かれた報告集会。(撮影/筆者)

 その後、中国電力は3号機の事前地質調査を行なう際に、突然この断層を調査し始め、結果として、誰も否定することができない「活断層」であることが明確となった。しかも、その長さは、広島大学の中田高名誉教授らの調査や原子力規制委の審査で次々と延伸し、結局、今や39キロメートルになっている。

 私たち住民は、「島根原発1、2号機は宍道断層による地震動を全く考慮しないまま建設し、運転を行なっている状態であり、耐震性のない原発の運転は許されない」と判断。1999年に松江地裁に運転差し止めを求めて提訴し、1審で敗訴、現在は広島高裁松江支部に控訴審が係属している。

 これまで、2号機の運転差し止め訴訟は、控訴人の各争点についての主張に対して、中国電力は原子力規制委の審査中であることを盾に、反論が定まらないと言い続け、裁判自体がなかなか進まない状態だった。そのため、進行協議(非公開)で裁判は続き、審査が終了してもその状態が改められることなく、控訴人側から公開の口頭弁論期日を開くよう求め続けていた。

 今回、新たに寺本昌広裁判長に交代したことを受け、ようやく私たちからの公開要請に応え、多くの傍聴人が詰めかける中、口頭弁論が行なわれた。

 10月27日の裁判では、これまでの主要な争点について説明するため、①基準地震動の過小評価、②火山事象に対する安全確保、③避難計画の不備についてプレゼンテーションを行なった。

 これらに先立って、弁護団が「司法判断の在り方について」説明した。東電福島原発事故から14年が経ち、司法の場においても原発事故についてリアルに危機感を感じることがなくなっているようだが、福島では甲状腺がんが、事故後10年で350人を超える子どもたちに見つかっている。また、膨大な健康被害も発生しているが、因果関係の立証が困難な場合もあり、救済もままならない状態である。

 その原因となった放射性物質の多くは、東電福島原発事故では太平洋上空に流れていたが、原発過酷事故が島根で起これば、多くの放射性物質は陸域を流れていき、人口の密集する30キロ圏内はもちろん、中四国・関西方面まで汚染してしまう。司法の判断は、まずこの東電福島原発事故の被害と教訓を前提として行なわれなければならないことを強調した。

 傍聴した支援者からは、中国電力の主張を完全に論破したとの声も上がったが、結果は裁判官次第。私たちは、完全に勝訴することができるよう訴えを続けていきたい。なにより、人に対して害あるいは死さえ引き起こす放射性物質の放出は、どんな理由があろうとも絶対に正当化することはできないのだから。島根原発は廃炉しかないことを法廷で聞きたいと切望している。

(『週刊金曜日』2025年11月28日号)

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