CEDAW勧告履行どう進める? 省庁とNGOが意見交換 高市政権で後退の項目も
古川晶子・ライター|2026年1月6日6:29PM
日本の女性の権利を国際基準にし、ジェンダー平等政策を進める上での指針となる勧告が、2024年10月に国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)から日本政府に対して出されている。

1年が経過し、勧告履行に向け各省庁がどのような準備をしているのか等を話し合うNGO側と省庁との意見交換会が11月10日、参議院議員会館で開催された。日本女性差別撤廃条約NGOネットワークと女性差別撤廃条約実現アクション(以下、アクション)の共催で、NGO側は会場とオンラインあわせて150人以上、国側は11省庁が参加した。
打越さく良参議院議員は「国際的な人権スタンダードに沿った日本社会を作っていかなくてはならない。国会でもこの意見交換の結果を踏まえて前進させたい」とあいさつ。しかし、国側の回答はCEDAW審査時の答弁と変わらず、不誠実な姿勢が目立った。
女性差別撤廃条約の「選択議定書」批准に関する外務省の回答はその典型だ。「各方面からの意見を踏まえて検討する。研究会を行って真剣に検討している」で審査と全く同じもの。しかもこの「回答」はこれまで何年も繰り返されている。アクションの亀永能布子さんは「勧告を履行するための意見交換なのに審査の時と全く同じ文言というのは、馬鹿にされているとしか思えない」と憤る。
「選択議定書」は国連で1999年に採択され、これを批准すれば、国内で解決されない問題について個人が国連に通報する「個人通報制度」が活用できる。女性差別撤廃の実効性ある推進には不可欠で、116カ国が批准している。NGO側は全国391議会で批准を求める意見書が採択されていることや、2020年の茂木敏充外務大臣(当時)の国会答弁「論点は明らかになってきているので結論を出さなくてはならない」を提示し、早期批准を求めた。
遠のく「選択的夫婦別姓」
勧告では2年以内に進捗報告を求める事項が4項目あり、その一つが選択的夫婦別姓制度の導入だ(注)。だが法務省は「国民の間や各党・各議員の間に様々な意見がある」という従来の文言に加え、旧姓の通称使用の拡大に取り組むよう高市早苗首相からの指示があり「必要な対応を検討」すると回答。事実上の大幅後退である。
一般社団法人「あすには」の井田奈穂さんは、CEDAWに報告しなければならない点に触れていないことや、旧姓の通称使用は「悪用されるおそれがある」という記載が法務省発行のリーフレットにあること等を指摘したが、同省から明確な答えはなかった。
雇用における性差別も同様で、ワーキング・ウィメンズ・ネットワークや全国労働組合総連合から、賃金・管理職登用の男女格差是正のために国から企業に働きかけるよう求める提案が投げかけられたが、厚生労働省は「事業主の取り組みを促していく」と答えるにとどまった。
いくらか前向きな対応が得られたのは非正規公務員の問題だ。国や自治体で公務サービスを担う非正規職員はその8割以上が女性。公務非正規女性全国ネットワークの渡辺百合子さんは、20年の「会計年度任用職員制度」導入以降、自治体で賞与などを支給する代わりに月々の給与が減額されるなどの事例を挙げ、制度の抜本的見直しを求めた。総務省は、「自治体からの聞き取り等を通じ、改善に取り組んでいきたい」と回答した。
(注)そのほかは、女性が国会議員に立候補する場合、供託金(300万円)を一時的に引き下げること、すべての女性と少女が緊急避妊薬を含む現代的避妊方法にアクセスできるようにすること、人工妊娠中絶に配偶者の同意を求める母体保護法を改正すること。
(『週刊金曜日』2025年11月28日号)
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