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熊本・陸自健軍駐屯地の長射程ミサイル配備に地元で反対集会

土岐直彦・ジャーナリスト|2026年1月6日6:12PM


 敵基地攻撃能力(反撃能力)を持つ長射程ミサイルが熊本市東区の陸上自衛隊健軍駐屯地に初配備される計画に反対する集会が11月9日、駐屯地に近い健軍商店街で開かれた。地域住民や市民団体が結集し、主催者発表で約1200人が参加。自衛隊支持が比較的高い保守的な土地柄の当地では異例の規模といい、参加者から「攻撃の標的になるのでは」と不安や憤りの声が相次いだ。

健軍商店街のアーケード下を埋めた長射程ミサイル配備反対集会参加者。(撮影/土岐直彦)

 熊本市は明治初期に「鎮西鎮台」(熊本鎮台)が置かれ、西南戦争や台湾出兵に出動した「軍都」。現在は九州・沖縄を管轄する自衛隊西部方面総監部が置かれ、地対艦ミサイル連隊を含め各種部隊の本部がある。駐屯地は住宅街のど真ん中で、攻撃や弾薬爆発事故があると民間にも危険が及ぶ。

 集会は「STOP!長射程ミサイル・県民の会」(県民の会)が企画。日本が進める急速な「戦争態勢」に危機感を強め「熊本が戦場になっていいのか」と呼びかけた。この日、会場の商店街は歩行者天国で、アーケード内は市内外からの参加者で埋まった。これも「軍都熊本」ではあまり例がないことだという。

 リレートークでは地元の女子高校生や母親、保育園理事長、弁護士、商店主ら14人がマイクを握り、切実な思いを語った。小学校のPTA会長は平和憲法前文の一部を高らかに読み上げ、元教員は戦後の教師たちの原点「教え子を再び戦場に送るな!」を引用。今また同じ過ちを繰り返そうとしていると警鐘を鳴らした。

 米国「退役軍人の会」メンバーも特別参加。ベトナム戦争に従軍した経験から、米国のための戦争に日本が「誘導されないように」と助言すると大きな拍手が湧いた。

主催者「年度内に再開催」

「非戦」で同じ道を行く市民団体からもスピーチがあった。学識者らでつくるNPO法人「くまもと地域自治体研究所」理事長で医師の板井八重子さんは「一人ひとりの患者の命をどう守るかに長年努力してきた。それと対極にある殺し殺される戦争に反対し、平和をつくる文化を」と訴えた。医師としては水俣病にも関わり、胎児性水俣病の調査研究に尽力した。

「平和を求め軍拡を許さない女たちの会・熊本」事務局長の海北由希子さんも登壇した。「戦争を始めようとしているのは政治家。それは高市(早苗)首相や木原(稔)官房長官だ」と指摘。地方自治体が住民の命を戦争から守る手立てをしていないと批判した。この地は防衛大臣も務めた木原氏のお膝元(衆議院熊本1区)だ。

「女たちの会」は11月24日、熊本市内で「戦争だけはしちゃならん! 熊本大行動」を開催。全国各地の市民団体と連携を深める。

 9日の集会後、参加者は「武力で平和は守れない」などの横断幕を先頭に、駐屯地まで1キロメートル近くをデモ行進。県民の会の山下雅彦代表(東海大学名誉教授)が駐屯地の担当者に集会宣言を手渡した。一日も早い住民説明会開催などを求めている。

 山下代表は教育学が専門で、子どもの権利尊重について研究。そのためには平和な社会が不可欠との意識が根底にある。集会について「『1000人参加』を掲げていたが、実際にはその半分程度を想定していた。ところが日に日に『参加する』の声が寄せられ、1000人超えにはびっくりした。年度内に再び大集会を持ち、県民運動に広げたい」と話した。

(『週刊金曜日』2025年11月21日号)

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