兵庫県警、NHK党・立花孝志党首を異例の逮捕 〝死者への名誉毀損〟に踏み込む
粟野仁雄・ジャーナリスト|2026年1月6日5:44PM
2025年11月9日、兵庫県警はNHK党の立花孝志党首(58歳)を虚偽発言などで他者の名誉を傷つけたとして逮捕した。名誉毀損容疑で在宅捜査でなく逮捕するのは異例だ。

直接容疑は24年12月、立花党首が大阪府の泉大津市長選に立候補した際の演説で、元兵庫県議の竹内英明氏(25年1月18日に死去・当時50歳)について「警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」と発言。同氏の死去翌日の1月19日にも「明日逮捕される予定だったそうです」などとSNSで発信したことだ。
6月に立花党首を告訴した竹内氏の妻は、逮捕後のオンライン会見で「ほっとしています。死者への名誉毀損という部分に踏み込んでくださった」と発言。妻は8月の会見でも「反論することもできない死者を愚弄し蔑む。死してなおはずかしめを与える。私は夫の尊厳を守りたいと思って声をあげました」と語っていた。
立花党首は逮捕翌日に静岡県の伊東市長選(12月7日告示)への出馬会見を予定しており、出馬は「逮捕逃れ」とも見られていた。兵庫県警は前記の竹内氏に関する発言については事実無根と否定。ただ名誉毀損罪は、その毀損行為について事実の有無にかかわらず処罰することができるが、死者の名誉毀損行為に関しては、それが虚偽の事実を示した場合のみ罪に問える(刑法230条)ため立件のハードルが高いとされる。
竹内氏の妻の代理人・郷原信郎弁護士は立花氏について「立件のハードルが高いからこんなものは犯罪にはならないという、タカを括った発言をしていた。逮捕事実の中に死者への名誉毀損の事実が加えられたということは、非常に大きな意味がある」と会見で強調した。
引き延ばしに出る可能性
立花党首をめぐっては23年3月、NHK受信契約者の個人情報を不正入手してネットで公開したとして不正競争防止法違反や威力業務妨害罪などでの有罪判決(懲役2年6月、執行猶予4年)が最高裁で確定しており、現在は執行猶予中。その間に別件で有罪判決を受けた場合は実刑の可能性が高くなることから、今後は控訴や上告により前記の猶予期間終了まで引き延ばす可能性がある。
兵庫県警は立花党首が前記情報を虚偽と認識したうえで発言していたとみているが、同党首は弁護人に「竹内氏の生前に話したことは真実相当性(信用に足る事実)があったが、死後の発言については虚偽の認識はなかった」と話しているという。
郷原氏とともに竹内氏の妻の代理人を務める石森雄一郎弁護士は「選挙運動中の発言にも切り込んでくれた兵庫県警に感謝したい。立花孝志という人物は憲法の政治活動の自由を盾にして他者の人権を頻繁に侵害し、違法行為を繰り返してきた。憲法が定める権利を濫用する者にしっかりとジャッジしていただきたい」とコメント。立花党首の前記の発言についても「確たる情報もなく誹謗中傷していたことの証拠となる動画を収集した。そこには(竹内氏の)逮捕情報は裏が取れていなかったことを本人が認めた発言が多数ある。真実相当性はないと自ら暴露したわけであり、今さらそれを主張しても通用しない」と切り捨てた。石森氏も「こうした言動に厳しく対処しないと『表現の自由だから何を言ってもいい』と模倣する人が今後も出る」と警鐘を鳴らした。
(『週刊金曜日』2025年11月21日号)
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