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東京・品川リニア工事現場地上で道路が隆起、JR東海は作業中断

樫田秀樹・ジャーナリスト|2025年12月25日5:11PM


 10月28日の朝7時過ぎ、東京・品川区西品川1丁目の横断歩道周辺の路面が最大で13センチ隆起したことが確認された。

東京・品川区の隆起現場。マンションまで約5メートル。シールドマシンが掘進再開すれば1~2日で到達する短さだ。(撮影/樫田秀樹)

 現場はJR東海がリニア中央新幹線建設のため深さ約80メートルの地下をシールドマシン(直径14メートル/以下、マシン)で掘削していた地点から、約5メートル離れた場所だ。区から隆起の連絡を受けたJR東海は、「周辺で他の工事が行なわれていない以上、リニア工事が起因の可能性がある」としてマシンを停止した。

 マシンは現場から北東に約500メートル離れた立坑「北品川非常口」を2021年10月に発進。だがその後、掘削に必要な添加剤の注入ミスや付着した土砂の圧力によるマシンの変形などで3回も掘削が中断。約500メートルを掘り進むのに実に4年も要した。ちなみに同じ品川区の目黒川では昨年8月、都内町田市の民家の庭で同10月、それぞれ地下でリニア工事が進む場所で酸欠空気による気泡が発生しており、後者はJR東海も工事が原因だと認めた。

 さらに、留意すべき点がある。同区でマシンがこれまで掘進してきた約500メートルの地上にはJR東海の工事ヤードと製薬会社の敷地があるだけだった。しかし今回の現場は、マシンがいよいよ住宅街の真下に入ろうとする地点の地上に位置しているのだ。

 同区民から情報を入手した筆者が28日午後2時に現場に着くと、まさに残り5メートルで足元をマシンが掘進予定の場所に建つマンションがあり、そこに住む女性が不安そうな表情で現場を見ていた。マンションの周辺を案内してくれたその女性が「こんなのは先週までありませんでした」と示したのは壁面の一部の剥離、コンクリートのずれや亀裂だった。

 この事象は東京・調布市で20年10月18日、東京外かく環状道路の建設工事現場の地上で発生した陥没事故を筆者に想起させた。直径16メートルのマシンが原因で起きた同事故では、発生の前後に住宅街で騒音と振動、路面や壁面の剥離や亀裂が続いた。事故後の調査で現場地下に長さ30メートル以上の空洞が3カ所も見つかり、数十世帯が地域を離れた。今回はその二の舞になるのだろうか。

国交省は実態を把握せず

 11月4日、今回の事故の詳細を知りたいと、共産党の国会議員団が国土交通省鉄道局レクチャーを衆議院第一議員会館で開催した。

 筆者も取材したが有益な情報は得られなかった。まず国土交通省職員の誰も現地調査をしていないことがわかったほか、鉄道局から出席した3職員の一人、伊藤佑馬・施設課環境対策室課長補佐も「JR東海が(工事が原因か否か)調査中なので」と説明するのみ。結果が出るまで静観するとの立場を示した。山添拓・参議院議員の「JR東海は掘進日報を記録している。事故の分析のためにも必ず公開を」との要請にも「今はまだ調査の段階です」と明言を避けた。発生直後に一般の市民がJR東海の工事事務所に電話し「地下での空洞発生の有無を確認する調査はしたが、探査が可能なのは深さ1・5メートルまで」との言質を得ていたが、環境対策室がその内容すら把握していなかったことも、約30人の参加者を落胆させた。

 前出の女性は事故について、「うちのマンションで大きな議論になるはず」と語った。JR東海は目黒川と町田の両事故でも住民説明会を開かなかったが、今回は真摯な対応を望むばかりだ。

(『週刊金曜日』2025年11月14日号)

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